ちくま学芸文庫<br> ブリタニカ草稿―現象学の核心

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ちくま学芸文庫
ブリタニカ草稿―現象学の核心

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  • サイズ 文庫判/ページ数 279p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088178
  • NDC分類 134.9
  • Cコード C0110

内容説明

現象学の始祖エトムント・フッサールが、『ブリタニカ百科事典』の求めに応じ、「現象学」の項目のために執筆した、ドラマチックな推敲のあとが窺える四つの草稿の集成。変化しつづけたフッサールの思索が成熟した時点で書かれた本書は、まさに“現象学とは何か”その核心を語る。そのため、完成稿(第四草稿)は、始祖自身による最も完備した好適な入門書ともなっている。これら草稿は、ハイデガーとの共同作業を経て完成したが、とくに第二草稿には両者の一致と相違が如実に現れていて、20世紀を主導した両者の現象学的哲学の本質を考えるための重要なヒントもここにある。詳細な訳者解説を付す。

目次

第四草稿(最終稿)(純粋心理学、その経験の場、その方法、その機能;現象学的心理学と超越論的現象学;超越論的現象学と絶対的に基礎づけられた普遍的学問)
第一草稿(「純粋」心理学としての心理学的現象学;心理学的現象学との対比における超越論的現象学)
第二草稿(改訂の試み)(現象学の理念と意識への還帰;純粋心理学の理念;現象学的心理学と超越論的現象学)
第三草稿の序論部分
第三草稿の結論部分

著者等紹介

フッサール,エトムント[フッサール,エトムント][Husserl,Edmund]
1859‐1938。ドイツの哲学者。現象学を創始し、「厳密な学としての哲学」を構築する。現象学の理念は、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティなどに継承され、現代思想の諸潮流に計り知れない影響を与え続けている

谷徹[タニトオル]
1954年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学。現在、立命館大学文学部教授。現象学と現代哲学を研究
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

SOHSA

17
《購入本》既に絶版となっている本書を何とか入手して読んだ。フッサールの著作の中では最も入門的で分かりやすいといわれているものの、やはり簡単ではない。方法論としての現象学的還元は理解できているものの、フッサールの説く現象学の成立過程における純粋心理学との連関がどうも今ひとつしっくりと腑に落ちてこない。また、最終稿である第4草稿が最も完成度が高く理解しやすいと訳者は記しているが、個人的にはやはり第1草稿から順に追っていくことでむしろ理解が容易になるような印象を受ける。(→)2015/09/08

春ドーナツ

14
英国のブリタニカ百科事典において、新たに「現象学」の項目を設けることになり、その文章をフッサールに依頼した。というのが本書の成り立ちである。4000文字で。という依頼だったけれど、フッサールの文章に慣れてくるとわかるのだけれど、7000文字以上(だったと思う)になった。事典編纂者は頭を抱える。というか英訳して抄訳した。フッサールの文章にはありがちなのだが、完成稿は誤解と逸脱に満ちた不完全なものだった。と外野の人たちは言う。で。書名の「草稿」の意味が浮かび上がる。んで。入門的な文章を期待した私は甘かったのだ2024/02/01

またの名

5
意見が食い違い始めた現象学の創設者と弟子が微妙なムードで共同執筆を手がけ、あげく文章量多過ぎで依頼元が削った草稿。意識は必ず 「(何かの対象)についての意識」として対象に向かう志向性を持ち、その「〜についての意識」についての意識を反省的に獲得して普通の心理学以上に根源的な意識構造を記述する、現象学の試みを解説。その結果スマホ画面を私は見るという状況は、超越論的還元と呼ばれる抽象的な不変の形相構造への翻訳を経て、多様な諸現出を見せる現出者がそれを知覚する主観性により構成されるみたいにフッサール語で書かれる。2022/11/01

栗。

2
ブリタニカ百科事典の「現象学」の項に載せるために執筆をお願いされたフッサール。4000語くらいでお願いしますと言われていたのに、推敲を重ねた結果、7000語と見事に容量を越えてしまう。結局ブリタニカに載せるにあたっては致し方なく、他人が手を加え頑張って4000語に縮減。そんな経緯があるとか。非縮減=完全版がこれ。フッサールの言い回しは難解だが、谷氏の解説が非常に丁寧で(具体例を出したり基本的な語句まで解説してくれている)、しかも大容量(なんとこの本における2/5)だから、わかりやすい。2013/08/29

Stonewell

1
現象学的還元という方法への反発から積読本となっていた本書を再発掘。心理主義的主観と超越論的主観の区別は参考になったが、やはり現象学的還元、特に超越論的還元という方法への疑問は氷解しない。自然的態度を遮断しながら、どうして<私>は自然(的態度の付着している)言語を使用することが認められるのか。また、間主観性についても疑問が残る。超越論的主観性にとって他者が諸現出から構成される現出者に過ぎないとすれば、それはどうして直ちに<この>超越論的主観性と同じ身分が与えられうるのか。疑問の尽きない魅力的な書2015/06/05

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