ちくま学芸文庫
ケルト妖精学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 496p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480087966
  • NDC分類 388.33
  • Cコード C0139

内容説明

妖精は本当にいるのだろうか?ケルト神話では、ダーナ女神の神族が、後から来たミレー族(アイルランド人の祖先)に戦いで敗れ、海の彼方に「常若の国」を、地下に「妖精の国」を造り、「目に見えない種族」になったのが妖精だといわれる。本書は、妖精を英文学史から辿った「フェアリー・テイル」である。妖精を今日見るような人間に親しい小さな美しい姿に定着させたシェイクスピアの『夏の夜の夢』では妖精王オーベロンや女王ティターニア、『テンペスト』ではエアリエールが活躍する。また児童文学のピーターパンなど、妖精像の変容を神話学、民俗学、比較文学の視点から興味深く紹介する。

目次

序 「妖精学」の必然と領域
第1部 ケルト民族と妖精の世界(フェアリーランドへの道;アイルランド妖精伝承の蒐集と保存 ほか)
第2部 妖精伝承と物語詩(中世の古文献にひそむ妖精;中世ロマンスとバラッドから ほか)
第3部 英文学の妖精たち(古代・中世・ルネッサンスの妖精;シェイクスピアの妖精 ほか)
第4部 児童文学にみる遙かな異界(児童文学の妖精像;イギリス児童文学と旅)
第5部 現代のフォークロア研究(キャサリン・ブリッグズの妖精学;英文学とフォークロア)

著者等紹介

井村君江[イムラキミエ]
栃木県に生まれる。東京大学大学院比較文学博士課程修了、明星大学教授を経て、妖精美術館(福島県金山町)館長。イギリスフォークロア学会終身会員、イギリス児童文学会顧問。日本ワイルド協会顧問。日本における妖精学の第一人者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rinakko

9
興味深い内容でとてもよかった。第一部 ケルト民族と妖精の世界 では、少しずつ知っていたことが繋がっていく楽しさもあり。第二部以降では、「中世ロマンスとバラッドから」や「アーサー王伝説のフェ」「テニソンとラファエル前派」「シェイクスピアの妖精」といった章がとりわけツボだった。2014/08/21

3
イギリスの妖精について、文学作品を中心に、文化的な側面も含めて詳しく取り扱っていた。文学に重点をおいているので、民衆の生活に深く込み入ってはいないけど、妖精というものがどういうものだったのか、過去と現在(未来)に渡っている。妖精というものに興味があるのなら、一度は手にとっていいと思う。2011/03/06

in medio tutissimus ibis.

1
イギリスにおける非キリスト教(≒ケルト神話)的なファンタジィに登場する妖精が、時代によってどのように語られ、記され、あるいは造形されてきたか、そして研究されてきたかを概説して妖精学を打ち立てようとする。近づき難い不気味さを纏っていられた中世の後、近世の文学で修飾され子細に語られる様になるにつれ幻想のヴェールをはぎ取られて行くも、児童文学という新境地に安住の地を見出す、妖精たちの遍歴の記録であるかもしれない。沙翁からハリーポッターまで、英国幻想文学の嗜みがあるなら読むと一層愉しみが増す本。2020/11/01

bittersweet symphony

1
井村君江(1932-)さんの代表作のひとつ。古代ケルト神話における妖精(的存在)が時系列的に英国でどのように受容されてきたかを検証しています。中盤以降はイングランドを中心にシェイクスピアを頂点とした英文学における妖精叙述の表現の変遷的な話に移行、後半はファンタジー児童文学(アリス、ナルニア、ゲド、サミアード…)の評論と著者の恩師でもあるキャサリン・ブリッグズの伝記的な話になり、厳密に言うならば前半のテーマとの整合性は必ずしも取れているとは言えない内容になっているように思います。2011/08/23

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