内容説明
若くして当代最高の学者、聖職者の地位に登りつめた男に何が起こったのだろうか?突如襲った懐疑、放浪と修業、孤独と隠遁の日々…神学も哲学も真理を保証せず、正統・異端を問わず、権威によりかかっているだけでは信仰の確信には至りえない。遍歴の果てに見出されたものは?ガザーリーの「自伝」であり「弁明」でもある本書からは、特異な生涯を送った一知識人の内面の軌跡だけではなく、激動の歴史にさらされたイスラム世界全体の変容が読み取れる。知と信の分裂、自己と文明の解体、さらにはそれらの克服と再統合への道を証言する第一級のドキュメント。詳細な注と力作解説を併載した新訳決定版。
目次
第1章 真理の探究
第2章 懐疑と知識の否定
第3章 真理探求者の種類(神学―その目的と成果;哲学;タァリーム派とその危険性;スーフィーの道)
第4章 啓示の本質とその必要性
第5章 引退後に再び教鞭をとった理由
著者等紹介
ガザーリー[ガザーリー][al‐Ghaz ̄al ̄i]
1058‐1111年。ラテン名アルガゼル。中世イスラムを代表する神学者・聖法学者・神秘思想家。アヴィセンナ哲学を批判し、自らの神秘主義への転向によってイスラムのスーフィズム化を促進し、後代に大きな影響を与えた
中村廣治郎[ナカムラコウジロウ]
1936年生まれ。東京大学文学部卒業、ハーバード大学大学院博士課程修了。東京大学教授を経て、桜美林大学教授。Ph.D.、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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