ちくま学芸文庫
異神〈上〉中世日本の秘教的世界

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  • サイズ 文庫判/ページ数 441p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480087683
  • NDC分類 162.1
  • Cコード C0114

内容説明

“異神”とはなんの謂いか。新羅明神に赤山明神、摩多羅神、宇賀神、牛頭天王…。耳慣れぬ異貌の神々。装いもそれぞれに中世密教の中枢に鎮座しながら、由来は神話中の神とも仏教典中の仏とも明かさず、あるいは祟りをなし、習合と変容を繰り返し、偽経中に生き延びるマジカル・フィギュア、第三の尊格たちの闇を探る。上巻は新羅明神と摩多羅神の周辺。唐山・新羅から院政前夜の叡山に来臨した新羅明神には、その由来から寺門対山門、寺門対王法の拮抗の歴史的契機をうかがい、摩多羅神には天台常行三昧行の守護神、修正会・延年舞における芸能神、本尊たる玄旨帰命壇における秘義潅頂の諸相まで、異神の来歴と変貌の現場をつぶさに解明する。

目次

第1章 異神と王権―頼豪説話をめぐって(『平家物語』頼豪説話の構成とモティーフ;呪殺された王―後三条天皇崩御譚;頼豪説話の成立;鼠の秀倉譚 ほか)
第2章 摩多羅神の姿態変換―修行・芸能・秘儀(謎の神・摩多羅神;叡山常行堂と摩多羅神;秘儀と摩多羅神―摩怛利神法と玄旨潅頂の世界;修正会のなかの摩多羅神―秘法相伝と摩多羅神の「顕夜」 ほか)

著者等紹介

山本ひろ子[ヤマモトヒロコ]
1946年生まれ。早稲田大学第一文学部史学科中退。日本宗教思想史専攻。現在和光大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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アル

1
再読。上巻収録の一章は頼豪と新羅明神、二章は摩多羅神を扱う。 どちらかと言えば真当な僧侶の往生譚だった頼豪の最期が、三井寺戒壇問題と後三条帝崩御の新羅明神の祟りに結び付けられ、最終的によく知られる頼豪鼠の話にまで改変されていく流れ、噂話がどんどん捻じ曲げられていく様を連想する。 常行三昧の守護という属性から幾つもの神性と習合していく摩多羅神、もはや正体がわからなくなりつつも貪欲に発展していく様子が当時の信仰の生命力を感じさせられる。 初読のときも思ったが、著者の文体は独特の感情移入を感じられて印象深い。2017/09/29

鏡裕之

0
頼豪という僧の説話と摩多羅神。怨恨と祟りの裏側から見える、外来の神の姿。2014/01/12

fuseciba

0
牛頭天王、クマラなどに興味があって購入。海外から流入した神仏信仰の変遷についての本。

satoshi

0
新羅明神,摩多羅神,牛頭天王。エキゾティックな響きの名を持つ異形の神々。神話の神でも、仏菩薩でもない、新しい第三の尊格「異神」。彼らの出自・来歴,そして日本での自己形成の様を追う。上巻で扱われているのは新羅明神,摩多羅神。京極夏彦『鉄鼠の檻』にも出てくる頼豪説話ひとつ取ってもこんなに入り組んでるなんて。おもしろい。でも読むの大変。でもおもしろかった。2010/11/04

幽寂庵

0
現代に生き残る神とも仏ともいえぬ魅惑の越境者。エキサイティングでした!名著!!2009/07/01

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