内容説明
大都市にふさわしいインフラと、品格のある魅力的な景観を持つ「東京」の実現のために、情熱をかたむけ奔走した人々がいた。幻の帝都復興計画の立役者・後藤新平、外苑の並木道や隅田公園を作り上げた折下吉延、井荻地区の区画整理を推進した内田秀五郎など。理想と情熱のかぎりを傾けて作り上げられたさまざまな都市計画は、どのように実現され、また挫折に至ったのか。関東大震災後や太平洋戦争後の復興計画から東京オリンピックにいたるまでのプランや歴史を丹念にたどるとともに、現代の都市計画の問題点を指摘する画期的な一冊。
目次
1 後藤新平と帝都復興計画
2 帝都復興の思想と復興事業の遺産
3 水辺のプロムナード・隅田公園
4 神宮外苑の銀杏並木
5 大東京の成立と新宿新都心のルーツ
6 優美なアーバンデザイン・常盤台
7 山の手の形成・区画整理と風致地区―郷土開発にかけた情熱
8 宮城外苑―シビック・ランドスケープの思想
9 東京緑地計画―グリーンベルトの思想とその遺産
10 防空と建物疎開
11 幻の環状三号線―戦災復興計画の理想と挫折
12 東京オリンピックと首都高速道路
終章 東京都市計画の負の遺産
二一世紀の東京都市計画の課題
著者等紹介
越沢明[コシザワアキラ]
1952年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。現在、北海道大学大学院工学研究科教授、社会資本整備議会委員、財団法人都市計画協会理事。主著に『満州国の首都計画』(土木学会賞受賞)、『哈爾浜の都市計画』、『東京の都市計画』(本書と併せ、日本都市計画学会石川賞、日本不動産学会賞、日本造園修景協会賞受賞)などがある
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