ちくま学芸文庫<br> 魔術と錬金術

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ちくま学芸文庫
魔術と錬金術

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  • サイズ 文庫判/ページ数 380p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480085894
  • NDC分類 163.8
  • Cコード C0110

内容説明

新プラトン主義、ヘルメス思想、占星術…。ミクロコスモスとマクロコスモスの照応を信じた「魔術の知」は、自然哲学の一つの型であり、有機的生命論であった。古代、地中海という風土に生まれたこの思考様式は、中世以降、異端視され排斥され続けてきたが、ルネサンス期に蘇り、硬直・枯渇化した西欧文化に霊感を与えつつ広がった。今なお閉塞状況にある近代知にパラダイム転換を迫る大きな可能性を秘めている。本書は、迷宮におけるアリアドーネの糸となって、読者を導き、驚くばかりの明晰さで魔術・錬金術の宇宙を開示する。

目次

第1部 魔術(ルネサンスと魔術;魔術の復権;黒魔術;魔術観の歴史)
第2部 錬金術(錬金術の意味;象徴と作業;完全なる生;中世・ルネサンスの土壌で)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

26
古代ギリシャの自然派から世界としての世界の構成体としてのミクロを研究することによって世界を把握しようとしてきた。ヨーロッパの暗黒時代を経ることで世界を知ろうとする欲求が高まり、大航海時代や博物学、そして魔術や錬金術という今では疑似科学とも捉えられるものが生み出された。占星術と錬金術の相対関係、化学と錬金術、ニコラス・フラメル、教皇に反発するが神を恐れ、叡智を求める薔薇十字団の結成、四大要素を適用したヴンダーカンマーの収集物を博物学的に選別、黒魔術への忌避や文学と占星術を歴史、理論共に論じた「知の塔」本。2013/04/26

佐島楓

19
私が期待していた、古代魔術の具体的内容や迫害の歴史などにはほとんど言及がなかった。話が前後したり脱線したりと読みづらいところもあった。アリストテレス哲学がルーツであること、かなり広範にわたる学術的知識が必要なこと、キリスト教とはそもそもの理念の面で相容れなかったことなどは理解できた。2012/10/15

刳森伸一

4
ルネサンス期の魔術(主に自然魔術)と錬金術を概観した書。初めて知ることばかりで面白いし、平易な言葉で綴られているから詰まらず読める。魔術や錬金術関連の(翻訳のある)本が引用されていたりするので、そっちの方も読みたくなる。2018/11/04

富士さん

4
再読。因果関係ではなく照応関係で物事を理解すること、事実を抽象化して表すのではなく多義的な精神性を重視すること、対象を完全な客体として見ずに創発的な主体として見ること、など自然科学では“古い”のかもしれませんが、社会科学では常に新鮮であり続ける方法を魔術は持っていることがよく理解できる良著だと思います。数千年にわたって多くの人を納得させてきたというだけでも、魔術の方法が優れていることは明瞭だと思います。今日、技術的でないことは明瞭ですが、だからと言って知的な営みとして劣っているとは言えないということです。2016/04/25

さんとのれ

2
錬金術とは怪しげなイベントではなく、金=完全なるものに近づこうとする絶え間ない努力が、いつしか精神性を帯びるようになったものだった。客観世界であるキリスト教に対し主観世界を追求し、異端的でありながらキリスト教と補完関係にもある。文学やイコノロジーだけでなく、思想史に与えた影響も思っていたより大きかったみたい。2014/03/11

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