ちくま学芸文庫<br> 内なる外国―『菊と刀』再考

ちくま学芸文庫
内なる外国―『菊と刀』再考

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480083180
  • NDC分類 361.5
  • Cコード C0131

内容説明

異文化間には本当の意味での理解がありえるのだろうか?1960年以降、第二次大戦の戦勝国人として日本にやってきて十年以上も暮らし続けた著者が、ある日、手にとった『菊と刀』。異国から母国をみつめる自らの体験に照らし合わせながら、詩人であり「文化の型」という概念を生み出した文化人類学者ルース・ベネディクトの思索の軌跡をたどり、アメリカ人からみた『菊と刀』の問題を浮き彫りにする。ベネディクトの日本理解を通して、異文化理解、国際連帯について考察する秀逸な日米比較文化論。

目次

1 国境(旅について;海の向こうの日本;基地生活―オキナワ’60)
2 日本文化への墓碑銘―ルース・ベネディクト再考(出合い;死の世界の美;政治教育としての文化人類学;『菊と刀』批判)
3 内なる外国(外国―たとえばアメリカ;文化の行方)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

30
「いま」の目で読んでもなかなか示唆に富む……というより、これほどまでにグローバリゼーションが進んだ状況によってもたらされる「知りたいこと(だけ)を即座に、知りたいように享受できる」時代が来てしまったからこそ本書が指摘する、ぼくならぼくの中に内在するステレオタイプな日本観やアメリカ観の呪縛の危険性を警戒することは重要だろう。サイード『オリエンタリズム』とも呼応する問題意識を響かせつつ、著者はそうしたステレオタイプが目を曇らせ冷静な現状認識を妨げる危険性に警鐘を鳴らす。実に「汗顔の至り」と襟を正す思いを感じる2024/04/30

Fumoh

2
著者がこの本で言いたかったのは、「途方もないアメリカナイズ的欲求の根源」とは何なのか、ということだったのではないか、と思う。アメリカは日本を敗北させ、「アメリカより劣っている家来」と認めた、とする。かつてはそれが正しかった。ルース・ベネディクトは類まれな論考『菊と刀』を残したが、日本人像をステレオタイプ化する要因を作り、アメリカがうまく導いてやらねばならない未発達な民族、とした。西欧人種にとってその論考は気分が良かった。もちろん日本人も敗戦からしばらくの間は、アメリカを模範とし、アメリカを憧れとしている。2023/10/26

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/205232
  • ご注意事項