内容説明
達意の訳文で知られる著者が、文法事項を的確に押さえ、短文を読み解きながら、翻訳の秘訣を伝授する。大学受験生から翻訳家志望者まで、一読三嘆、必読の訳文指南書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
7
長らく書架にあったが、こういう本は通読しないと意味がないと思って頑張った。名詞("The teacher's absence"などが主語に立つ文 )、代名詞("you"の処理)、関係代名詞、受動態(「象は鼻が長い」構文を使って「れる、られる」を避ける)、仮定法、話法、強調構文と、日本語らしく訳すための基本技が小さな分量で網羅してある。いちばん良かったのは江川泰一郎の名著『英文法解説』の例文をそのまま使ってあること(これも書架にあるけれどなかなか見られない。内容の一端を知れて良かった)。2020/05/09
帯長襷
7
安西先生の『英語の発想』を読んでからの本書なので、前者を踏まえての実践編という印象を持った。したがって書いてあるエッセンスは発想の方と同じ。実際に翻訳してみるとぶつかる壁を、より細かく解説してくれている。なにより、各項の最後にある先生の翻訳例が美しい。元から日本語で書かれた文章のよう。だから翻訳としてだけでなく言葉の勉強になる。モノ書きを志している人は一度読んでみるといい一冊だと思う。2016/02/13
たか
6
名著だからとりあえず目を通しておきました.2017/12/18
Studies
6
大変よく、和訳をしなければならない人の必読書であろう。2015/11/01
ノイス
6
単なる和訳の上手いやり方というよりは、どこまで自然な意訳が出来るかという著者の挑戦心の現れといえる。原文の要素となる核文を捉え、代名詞や関係詞などの「外国語らしさ」は訳に極力取り込まず、煩わしい表現は噛み砕き、そして英語と日本語とをよく知る。訳者や訳者の生徒の試訳が載っている為、それと見比べ自分のものと良さ・悪さを見極めながら、著者の言いたいことが身に染みてくる。そもそも例文の文法構造自体難しいものが多いので、和訳の練習に存分になる一冊。2015/09/20