出版社内容情報
「論理的な思考力」は、推論の型を「構造図」としてとらえる訓練を積むことで身につけられる能力である。新しく、実用的なクリティカル・シンキング入門。
内容説明
クリティカル・シンキングの目的は、与えられた推論が正しいか正しくないかを判断し、正しくないときにはどこがどのように間違っているのか見つけ出す能力を鍛えることだ。そのために自分の頭で論理的に考える「思考力」を身につけることは欠かせない。しかし、その「思考力」は生まれ持ったセンスで決まるものではない。推論の型を「構造図」としてとらえる訓練を積むことで身につく能力なのだ。新しく、実用的なクリティカル・シンキング入門。
目次
第1章 「推論」としての「考える」こと(「推論」の基礎を知る;「推論」の理解をもう一歩進める)
第2章 推論の構造(推論の基本構造;構造把握のレベルアップ;推論の周辺)
第3章 いくつかの気を付けるべきポイント(必要条件と十分条件;因果関係と相関関係;「割合」を考える;多義性;否定詞「……ない」の使い方)
第4章 推論を評価する(存在根拠を与える推論の評価;認識根拠を与える推論の評価)
著者等紹介
丹治信春[タンジノブハル]
1949年生まれ。哲学者。東京都立大学名誉教授、日本科学哲学会元会長。専門は科学哲学、言語哲学、心の哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
42
あまりにも読まれていない。著者に同情する。理由は容易に推し量ることができる。途中でスポーツや演奏に例えているように、本書は実践の書だ。何かの知識を増やす本ではない。例文を推論の構造に分解してみせるのだが、恐らく途中でイヤになってしまうのは、その読解に時間とアタマが掛かるのと、せっかく読み込んだ説明と読者の考え方の違いをそれ以上埋められなくなるからだろう。目の前で実践してもらえたら違う。少なくとも論理の知識が身に付くことはあるのかなとも思うが、言葉の曖昧さや日本語の融通無碍なところが改善できるわけでもない。2024/04/10
まゆまゆ
9
様々な例文を通じてクリティカルシンキングの考え方を学び鍛える内容。論理的に考える、ということは、推論によって結論の正しさを論証すること。暗黙の前提、ことばの多義性を意識して文脈を読み取ること。必要条件と十分条件、因果関係と相関関係まで及ぶと複雑化して分解するのは大変だが、練習あるのみか(笑)2024/01/04
氷柱
4
1042作目。1月11日から。論理についての作品。難しく奥が深いの一言に尽きる。エビデンスになる情報が正確なものかどうかで結論の正しさが変わって来る。正確な情報であるかのように見せかけて、意外と個人の思い込みであることが結論を支えていることもあるので、注意が必要だ。そんなことを教えてくれる一作。しっかり理解し応用をきちんと利かせることができれば物事の解釈もスムーズにいくのだろうが、長年取り組んでいる作者ですら気付きを得ることのある分野だというのだからその手ごわさは計り知れない。2024/01/14
startvalue
1
★★★2023/10/24