出版社内容情報
文化で地方を豊かにするためにはどうすればいいのか。約50万人が訪れる「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」総合ディレクターによる地域活性化論!
内容説明
世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。新潟県の里山を舞台に、美術による地域再生を目指して、3年に1度開かれている。本書は、その総合ディレクターによる地域文化論である。文化による地域活性化とはどのようなものか。人と人、人と自然、地方と都市が交わるためにはどうすればいいのか。さまざまな現場での実践をもとに、地域再生の切り札を明かす。
目次
第1章 自分のいる場とかかわる―地域と人間の関係を探る
第2章 越後妻有と向き合う―過疎と人口減少のなかで
第3章 美術で地域をつなげる―地域の特色を明らかにするには
第4章 美術の働きを発見する―旅・場所・人々をつなぐ力
第5章 人と人とを交える―サポーターと地元の人々のつながり
第6章 日本の地域を生きる―現代資本主義の限界の先へ
第7章 未来をひらく―学びが次の展望を拓く
著者等紹介
北川フラム[キタガワフラム]
1946年新潟県高田市(現上越市)生まれ。アートディレクター。東京芸術大学卒業。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」、「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
51
美術、アート。言葉を変えて文化が、今の自分の中の大切な言葉。地域のことに関わり始め、関わり方も変わってきている中で、そう思うようになったし、さらに思いが強くなっている。人が営みを紡ぐ中で、何が大切なのかを考えた結果。ハコやモノではなくてコト。それを表現できるのが文化であり、美術・芸術。規模感はあまりにも違っているが、考え方などヒントになる。中に書かれていた「よそ者・若者・ばか者」の定義が、なるほどと思う。言葉通りに捉えるのではなく、あり方なのだと。2023/11/03
Nobuko Hashimoto
23
以前、芸術系の大学で一般教養の政治学の授業をしていた。芸術系の学生にも身近に感じられる話をと思い、まちづくり、廃校利用、芸術と政治といったテーマを取り上げた。そのとき受講生が越後妻有の大地の芸術祭に関わっていると感想に書いてくれた。今思えばあれは創成期だったか。その学生のみならず、芸術や建築系の学生は、まちづくりや、そこに自分はどう関わるかということに敏感だったように思った。なんてことを思い出しながら勉強した一冊。2018/11/09
T2y@
23
前々回から訪う『大地の芸術祭』 読み終えて、何故あのトリエンナーレに魅了されるのかを自覚した。里山集落を、作品と風美を目的に、自分の思うままに巡る、身体いっぱい五感前回の旅。 次回が待ち遠しい。 自治体、住人、ボランティアスタッフ、それぞれの向き合いの難しさも勿論あるが、持続可能な土着の芸術祭。「ハレの文化」となります様に。2016/08/22
おくりゆう
16
いつか行きたい大地芸術祭ということでそのディレクターの著書を手始めに。芸術祭の試行錯誤を中心に現場レベルの一つの地方創生の手法とともに地域とは文化とはを問い学術的要素を持った一冊。個人的に集中力を切らしていたこともあり読み返したい一冊です。2017/02/21
吉田裕子
8
大学院のゼミ合宿で、越後妻有の大地の芸術祭を回った。幸運にも、ゼミ生に、運営母体の一つであるNPO法人 越後妻有里山協働機構のメンバーがいて、作品制作の背景などを聞きながら回ることができた。浅学ゆえ「アートで人を呼ぼうとしているんでしょ」程度に思っていたので、むしろ「アートを制作し、芸術祭を運営する過程自体で、地域に元気が生まれる」ことの意義が大きいことを知らなかった。残念ながらアート作品自体の魅力はピンと来ないことも多かったが、地域の課題をアーティストが知り、そこから作品を制作するという姿勢は興味深い。2021/07/20