内容説明
この国が最も激しく揺れ動いた一八五七(安政四)年から一九三七(昭和一二)年までの八〇年間。近代日本の劇的な歩みを、「改革」「革命」「建設」「運用」「再編」「危機」という六つの時代に区分し、通観する―。はたして日本の近代とは何だったのか。わずか数十年の間にめざましい「近代化」を実現しながら、やがて「崩壊」へと突き進まざるをえなかった根本原因はどこにあるのか。史料を精緻に読み解くことで、図式的な理解を超えて、近代史をダイナミックに捉えなおす。
目次
第1章 改革―1857‐1863
第2章 革命―1863‐1871
第3章 建設―1871‐1880
第4章 運用―1880‐1893
第5章 再編―1894‐1924
第6章 危機―1925‐1937
著者等紹介
坂野潤治[バンノジュンジ]
1937年神奈川県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程中退。東京大学社会科学研究所教授、千葉大学法経学部教授を経て、東京大学名誉教授。専攻は、日本近代政治史。著書に『近代日本の国家構想』(岩波現代文庫、吉野作造賞受賞)、『日本憲政史』(東京大学出版会、角川源義賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
332
幕末から戦前までの政治史の流れがよくわかった。特に目新しい主張がある訳ではないが、今までの知識を体系立てて知る事が出来て良かった。2016/12/04
翔亀
59
幕末から1937年(日中開戦)迄の政治の通史である。が、ただの通史ではない。維新という革命から建設、再編、危機を経て崩壊と至る<政治>の流れを、各段階ごとに論点をどう選択した結果であったかを、史料を引用しながら生き生きと描く。特に、大正デモクラシー以降、議院内閣制と二大政党制を目指しながら定着せず、太平洋戦争に向けて崩壊していった政治を描く筆は迫力満点だ。ひとえに、2011.3.11を1937.7.7に重ね合わせる筆者の、現在の視点からの意味づけが与えられているからだろう。総選挙の今日、深く想いを馳せる。2014/12/14
Book & Travel
47
苦手な近現代史の勉強のために通読。本書では、明治維新の10年前の1857年から、盧溝橋事件が起こり日中戦争に突入する1937年までの日本の80年間を、改革、革命、建設、運用、再編、危機の六つの時代に区分して説明している。特に政界での勢力の対立に焦点が絞られ、国際情勢や社会史・文化史はほとんど触れられていないが、その分かえって政治史の流れが掴みやすく、腹に落ちた感じがした。最後に1937年以降を崩壊の時代と位置付けながら、異議を唱える者が絶えはてた時代を書く能力は自分にはない、と筆が置かれるのも印象的。2016/11/04
よこしま
40
常に手元に置いておきたい本、これが本音です。先日レビューした『日本のいちばん醜い日』や『日本のいちばん長い夏』を読むにしろ、基礎知識がないと読めませんでした。どの本が好いか否か関係なく、「〜長い夏」のような本当に短い期間の話しであっても、それまでの過程があった上でアクションが起きたことですから、どうしても著書や同じような近代史の本は必要になります。◆著書の特徴としては幕末から対戦前までの期間を、改革・革命・建設・運用・再編・危機と分割し、時代の流れを読みやすくしてます。10回は読み頭に叩き込みたいです。2014/10/17
yamahiko
35
幕末を基点に日中戦争に至るまでの政治史を丹念に概説。正確に史実を知ることの大切さを学んだ。再読の価値あり。2017/08/26