ちくま新書<br> 無縁所の中世

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ちくま新書
無縁所の中世

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  • サイズ 新書判/ページ数 237p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480065452
  • NDC分類 210.4
  • Cコード C0221

内容説明

中世において、朝廷・幕府以上の存在感を持っていた寺社=境内都市=無縁所。そこには、「世を仕損なった」人たちが、移民となって流れ込んできた。なぜ人は、有縁の世から逃れ、無縁世界で一時の命を繋ぎ再起を賭けようとしたのか。また、無縁世界が有縁世界に対抗しえたのは、どんな思想、どんな実力によるものなのか。網野善彦や民俗学の知見を批判的に乗り越えつつ、たしかな史料で日本中世を描く。

目次

序章 秀吉のバイプレーヤー―木食応其と無償の善意
第1章 山門摩滅か武家滅亡か
第2章 無縁所の魅力
第3章 なぜ人々は駆込むのか―未開国家と無縁所
第4章 これが無縁所だ!
終章 無縁所と中世社会―時代へのメッセージ

著者等紹介

伊藤正敏[イトウマサトシ]
1955年東京都生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。思想家・中世史研究家。一乗谷朝倉氏遺跡調査研究所文化財調査員、文化庁記念物課技官、長岡造形大学教授などを歴任。現在は研究・執筆活動に専念している。文献史学、考古学、文化財保護行政などをフィールドとしている。研究対象は日本村落史と中世寺社勢力論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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moonanddai

6
網野氏の「無縁所…」を読み、無縁所の自由・平和・平等という、何となくソフトなユートピア的なイメージがストンと落ちなかったのですが、その外にある苛烈な「検断(犯罪捜査)」「徴税」といった弱肉強食の有縁の社会があったからこそ庶民は「無縁」の社会に駆け込んだといわれれば、わかるような気がします。そこは人生をやり直せる場、いわば慈善施設であり再生工場というべきもので、それは何となく世間に認められるものというより、認めさせることができる「力」、武力であり呪術、文化力、経済力を持つ寺社だからこそということのようです。2022/10/14

4610tosan

3
これは大変面白く読ませていただきました。なかなか中世の大寺院や商工業、芸能などは、貴族や武士の付け足しみたいな説明しか読んでいなかったので、なぜあの時期に仏教寺院が大きかったのか、商工業はどうやって発達したのか、目からうろこでした。国土や生産者から富を絞り上げる古代国家と貴族、その仕組みを暴力で運用した武士、それ以外の政治力があって中世社会が成立してかつ進化(!)していったという説明は、私にはとても説得力がありました。2017/11/27

米村こなん

3
中世日本社会における寺社勢力の権勢の凄まじさが伝わる良書。高校日本史の副読本にしたい。2016/03/27

おらひらお

3
2010年初版。文章の書き方かもしれませんが、難しい内容をわかりやすく書いてある本です。それに加えて新知見も多く、購入すべき本といえます。ただ、著者の写真は面白いのですが、前作と変えてもらえるともっと面白かったと思います。2012/10/04

HANA

3
中世の歴史を寺社側からまとめた一冊。寺社がアジールであったとはよく言われるが、ここではその働きと限界までがわかりやすく説かれている。隆慶一郎の小説とか読むと、無縁所がもっと素晴らしいもののように思えるのだが。現実はこんなものかなあ。2010/05/30

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