ちくま新書<br> 使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理

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ちくま新書
使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理

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  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480065094
  • NDC分類 331
  • Cコード C0233

出版社内容情報

人は不確実性下においてどのように意思決定するのか。人間行動の本質を数理的に抽出、そこから「幸福な社会」のあり方を基礎づける。

内容説明

経済学とは単なる「お金儲け」の学問ではない。「どうすれば、みんなが幸福になれるか」を探究する営みだ―。世の中では、ある人の幸せが他の人の不幸へとつながることがしばしば起こる。では、そうした不可避の困難のもと、あるべき社会の形をどう構想すればよいのか。本書は最先端の確率理論を駆使して、この難題に鋭く切り込む試みである。不確実な世界における人間の行動様式の本質を抽出し、そこから、自由で平等な社会のあり方をロジカルに(しかし熱いハートで)基礎づける。

目次

序章 幸福や平等や自由をどう考えたらいいか
第1章 幸福をどう考えるか―ピグーの理論
第2章 公平をどう考えるか―ハルサーニの定理
第3章 自由をどう考えるか―センの理論
第4章 平等をどう考えるか―ギルボアの理論
第5章 正義をどう考えるか―ロールズの理論
第6章 市場社会の安定をどう考えるか―ケインズの貨幣理論
終章 何が、幸福や平等や自由を阻むのか―社会統合と階級の固着性

著者等紹介

小島寛之[コジマヒロユキ]
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、帝京大学経済学部経営学科准教授。専攻は数理経済学、意思決定理論。数理経済学の視座から、社会における「公平性」の意味を探究する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

樋口佳之

26
センは、「選択肢の広さ」、すなわち「どれだけの自由が与えられていたのか」を評価の対象として取り入れるべきであり、それはまさに功利主義を含む帰結主義(行為の結果の良し悪しだけを問題にする立場)が見逃してきたものだ/所得再分配や学校教育義務化などは、功利主義的には妥当であっても、センの観点からはさらに詳しく考えるべき問題/社会のよさの評価は、財の配分が与える効用の水準ではなく、これらの「財の特性を効用の実現へと変換するための機能」がどれだけ与えられているかという点においてなされる必要/潜在能力アプローチ2019/05/31

白義

10
幸福や公平など、一見経済学とはそぐわない概念を、経済学がいかに緻密に数式にし、その輪郭を明確にしたかが分かりやすく書かれていて、新書では類書が少ない。基本数式はわからないのだけど、文章の例えも素晴らしくてそこを読むだけでも大丈夫。実は経済学以上に、リベラリズムの社会哲学の、その数理的な基盤を解説したものでもあって、どの方向から読んでも面白く、有益。ロールズ、センの前史としてハルサーニという人文読者には馴染みが薄い名前を詳しく紹介しているのも高ポイント2013/02/09

おおかみ

4
幸福、公平、自由、平等といった、「よい社会」を築くためのものを経済学的に考えるとはどういうことか。本書は、数学的発想に基づき、ロジカルに議論することこそがその本質であることを教えてくれる。ピグーやハルサーニ、セン、ロールズらの思想を丁寧に解説してくれる快著。経済学に馴染みのない僕のような人間は重宝する。2010/01/25

壱萬弐仟縁

2
この本では、消費者と語られる部分が「市民」となっている。だから、市民が消費することの意味が書いてある。消費者が消費するという旧来型のものではない。全体を通じて、重要なことはゴシック太字で書かれているので、教科書的であるが、わかりやすさも保証できる。著者は数理経済学の専門家であるが、わかりやすい叙述に好感がもてた。2012/04/19

たかし

2
小島氏の著作を読む都度、数学への考え、規範的な学校教育の問題、より良い社会の選択が腹に落ちる。本書は5章までで「幸福」「平等」「自由」「公平」「公正」がどのような前提なら社会に是認されるか著名な研究を紹介。6章でケインズを再評価。より良い社会の実現を阻む問題点に、親から子への論理体系の移転と経験に依拠する意思決定論による体系の強化、階級を固着し不平等を助長する教育制度をあげる。家庭・学校・公共を再構築し公平な社会を創る思想は通じる所あり、ライフ・デザイン、ミッションのブラッシュアップにあたり参考となった。2011/04/18

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