ちくま新書<br> カントの読み方

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ちくま新書
カントの読み方

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  • サイズ 新書判/ページ数 202p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480064271
  • NDC分類 134.2
  • Cコード C0210

内容説明

カントは日本でも有名な哲学者だが、同時にその難しさについても広く知られている。けれどもそれは翻訳のためばかりではなく、カント自身が論じている事柄そのものが難しいのだから、叙述もまた難しくならざるを得ない。では、どうすれば、日本語でより正確に理解できるようになるのだろうか。ここでは『純粋理性批判』を例に、これまで統覚、超越・覚知、予料、範疇などと訳されてきたキーワードを分かりやすい言葉に置き換えるなど、さまざまな工夫を試み、長年カントに親しんできた著者が、初心者でも近づける方法を提案する。

目次

プロローグ カントはなぜ難しいのか?
第1章 実体としての魂の批判
第2章 意識の単なる形式としての私
第3章 経験を可能にする私
第4章 内的経験
第5章 他者
第6章 表象の手前―存在する私

著者等紹介

中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946年福岡県生まれ。77年、東京大学人文科学研究科修士課程修了。83年、ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。現在は電気通信大学教授の傍ら、「哲学塾・カント」を主宰している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

17
「主観」(Subject)の一般的意味は「意識の主体」だが、「主語」「実体」の意もあり、カントはこの三つをまぜこぜにしているらしい。こういう言葉の多義性そのものは面白いが、読む時には厄介な壁となる。でも著者は抽象語一つ一つを解きほぐし、神経を消耗するまで読み抜いてこそ哲学なんだという。「初心者のため」と帯にあったが、私は何が何だか解らぬまま、哲学のすごさにびりびり感電する思いだった。しかしきれいにまとまった解説より、この方がずっとありがたい。カントの哲学は思い込みの上に成り立っているというのも気に入った。2013/06/22

Gotoran

15
現在、『純粋理性批判』(上、中、下)にトライ中。(上)を読むもあまりにも難解に感じたため、急遽、本書を。カント研究の第一人者(著者)が、当該書の読み方を逐語読解的に実に丁寧に解説してくれている。まさに当を得たりとはこのことか!当然ながら、カントの難しさの訳(ラテン語での思考を独語で著述、翻訳者の問題等)などの思想周辺の背景についても。本書を横に置きながら、“1つ1つレンガを積み上げるように、それぞれの行にその次の行を積み重ねて確認しつつ忍耐力をもって”、早速、当該書(中)、(下)を読んで行きたい。2013/01/14

Happy Like a Honeybee

14
私が存在するとは、現象するように存在するのではなく、それ自体として存在するのでもなく、ただ私が存在すること。 カントの思考まで辿り着くまでには10年を必要とする。 日本だけではなく、今でも世界各国でカントの研究が継続されていると。 用語に慣れるまで、解説書などを乱読せねば。 図解もあり、抽象的な言葉も印象に残りやすい。 プロレゴメナによる経験的判断と経験判断の区別。 険しい山でも地道に開拓する精神が必要だ。2018/06/12

ソラヲ

10
カント『純粋理性批判』の主に自我論のところを抜粋して噛み砕いてくれる本。紆余曲折を経て「超越論的『主観』=超越論的『客観』」という等式が成り立ち、外的経験もけっきょく内的経験じゃないかと二元論を克服するところは鮮やか。ただ、因果律など、いくつかの前提がカントの思い込みに基づいているところに注意。本書でも名前が出てくる鈴木直『輸入学問の功罪―この翻訳わかりますか?』(ちくま新書)で誤訳の多さを指摘された岩波文庫の篠田訳に即しているが、常識と原書と照らし合わせればそれなりに読めるんじゃないかと思わせてくれた。2017/01/07

人工知能

8
カントのテキストからはわかりにくいものが少しはわかりはじめた気がする。「こうした命題において、あらゆる述語を取り去り「私」という主語だけを残して「私とは何であろうか?」と問うことは、ちょうど「これは犬である」「これはソクラテスである」などの述語を取り払って「これ」だけを残し、「これとは何であろうか?」と問うのと同じようにばかげている。・・たとえ「思惟する私」であるかぎりの「私」を取り出したとしても、それは認識の対象としては内容空虚に留まるということです。」2016/08/23

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