内容説明
「会社員」として長い年月を勤め上げたひとりの人として、息子(娘)に伝えておきたいことがある―そう思うお父さんは決して少なくないだろう。だがそれは、謹厳実直な人生訓ではない。立派な申し渡しでもない。遺言ともちがう。しいて言えば、自己証明の記録だろうか。すべての無駄を排除したのちになお残る言葉があるとすれば、それのみを掬い上げて伝えたい、父から子への手記。
目次
第1章 なにもいわない
第2章 会社員であるということ
第3章 愛した人は愛した人
第4章 金と心
第5章 世の中を生きるということ
第6章 男に「幸せ」などない
第7章 いつか訣れる
著者等紹介
勢古浩爾[セココウジ]
1947年大分県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。洋書輸入会社に34年間勤務ののち、2006年末退職。市井の一般人が生きてゆくなかで、運命に翻弄されながらも自身の意志を垂直に立て、何度でも人生は立てなおすことができると思考し、静かに表現し続けている。著書多数あり(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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団塊シニア
60
親密感あふれるようにみえる父子関係こそ疎ましい、というように筆者は2人の息子さんとの父子関係は距離感があったように思う、しかし、「わたしはなにもいわなくてもなにもできなくても常に君たちの無条件の承認者である」というフレーズはいかに愛情あふれてるかがわかる内容であある。 筆者の偽りのない、不器用な、そして真摯な生きる姿勢には共感できる。2013/12/09
しゅんぺい(笑)
9
五回目くらいの再読。やっぱりひとにとって大切なことを、ぜんぶ言ってしまっている。いちばん好きな本。2013/12/12
けんとまん1007
6
奇をてらうこともなく、へんに気負うこともなく、自分の言葉で綴った文章ならではの力強さがある。正確に言うと、力強いとは若干ニュアンスが違うようにも思うが、的確な言葉が浮かばない。真摯な言葉とでも言えばいいのかもしれない。自分も、息子に、娘に何か伝えることができているだろうかと思った。何がしかは感じ取ってくれているとは思う。それが、これからの子ども達の成長とともに、目に見える形となってくるのだと思う。2013/01/24
Hiromitsu
4
勢古さんの本にしては、捻くれたりシニカルだったりする部分も少なく、世の中のために生きろ、女子供に幸せを届けろ、親は偉大だ、という後半戦で一気に畳み込まれる。いつもの他人の本を引用する手法も抑えめに、まじめに生きることの大切さを説く。私にも家族がいてよかった、幸せだ、と思った。確かに、カネのかかる物質やサービスがなくても、或いは、ないほうが、幸せなのかもしれない。皮肉屋の勢古さんではなく、こんな男になりたい、と思わせる本。息子を想定して、カッコつけてしまったのだろうか。吉本隆明さんの言葉が心に残った。2023/06/11
しゅんぺい(笑)
4
ひさしぶりにもう一回読んでみた。 これも星五つじゃ足りない! この人、本当に正しいことしか言ってない気がする。 こんなに強い人はいないし、こんなにまっすぐな人はいないと思う。2011/04/12