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ちくま新書
自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480063809
  • NDC分類 321.1
  • Cコード C0210

内容説明

かつてより快適な暮らしが実現した現代社会。各人の振る舞いは膨大なデータとして蓄積され、“好み”の商品情報が自動的に示される。さらにはさまざまな危険を防ぐため、あらかじめ安全に配慮した設計がなされる。こうして快適で安全な監視社会化が進む。これは私たち自身が望んだことでもある。しかし、ある枠内でしか“自由”に振る舞えず、しかも、そのように制約されていることを知らずにいて、本当に「自由」と言えるのか。「自由」という、古典的かつ重要な思想的問題に新たな視角から鋭く切り込む。

目次

第1章 規則と自由(「個人」の自己決定と法・政治;自由への障害;二つの自由―バーリンの自由論;交錯する自由)
第2章 監視と自由(見ることの権力;強化される監視;ヨハネスブルク・自衛・監視;監視と統計と先取り;監視・配慮・権力;「配慮」の意味;衝突する人権?;事前の規制・事後の規制;規制手段とその特質)
第3章 責任と自由(刑法における責任と自由;自己決定のメカニズム;責任のための闘争―刑法四〇条削除問題;主体と責任)

著者等紹介

大屋雄裕[オオヤタケヒロ]
1974年生まれ。東京大学法学部卒業。法哲学を専攻。名古屋大学大学院法学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

69
フーコーなどのお馴染みのものから、レッシグのアーキテクチャと称する新しい監視管理の概念を紹介し、人間の自由というものを考察。犯罪予防のための緩い監視社会という形態に個人的に興味があり面白く読めた。さまざまな事例や引用、中島みゆきの歌詞が出たり、シュテルナーに驚いた。著者は法哲学者で、いろいろ新鮮な視点を知ることが出来た。ある程度政治思想などの基本的な知識が前提か。良書。2018/05/22

ネムル

14
論旨に対して事例がいまいちな気はするが(ガチョーン……)、なかなか面白い。バーリンの自由論を見ながら、アーレントへのよい補助線にもなる。全体主義的な傾向に陥りやすい積極的自由よりは消極的自由を消極的に擁護したバーリンだが、消極的自由というアーキテクチャが水面下に積極的自由として作られていることに、ひとつのジレンマがある。そこから自由を我が身に引き受ける著者の論旨に賛同はするが、ツッコミ不足な印象は否めない。だが参考になる。2018/11/16

ヤギ郎

11
自由を縛るものは法だけではない。アーキテクチャの概念を用いて自由が制約されている場面を紹介している。縛りが道徳的なもの(バイクに乗るときはヘルメットを被るなど)であれば,語る必要はないと思うけれど(ヘルメットを被らずにバイクに乗りたい人がいるかもしれない!),不道徳なものや私達が縛られていることにすら気づいていないものについては,一考にあたいする。人類は一人は完全に自由に生きていくことはできない。どこまで人々の自由を制限するか,その模索が続く。リバタリアニズムやナッジと絡めると面白いテーマかもしれない。2018/06/13

太鼓

11
監視装置まわりの話がおもしろかった。監視されたくないと言いながら、他人のことは監視したがる現代人。2015/10/12

大道寺

7
井上達夫の弟子による自由論。双書哲学塾の井上達夫『自由論』の元になった本を多く参照しているので、それを本書の先か後に読むとつながりのある読書ができると思う。最近、私は井上達夫界隈に興味を持ち始めている。安藤馨『統治と功利』も先日読んだ。これも本書により参照されており、私は安藤の示す方向性にいまのところ賛同する者である。/「自由な個人」とはフィクションである。フィクションの上に私たちの社会の仕組みは成立している。(1/3)2013/06/22

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