内容説明
武田、上杉、北条…数々の群雄が割拠し、しのぎを削った戦国時代。飢饉と戦争で疲弊した百姓は、社会的危機には公然と「世直し」を求めた。生き延びるために、ときに大名の戦争に参加し、また、隣村との境界争いなどにも武具を携えて参集した。いっぽう大名は、百姓に礼を尽くした施策を講じて領国の安定を図った。庶民の視点から乱世期の権力構造と社会システムをとらえなおす。
目次
プロローグ 代替わりと「世直し」
第1章 飢饉と戦争の時代
第2章 村の仕組みと戦争
第3章 地域国家の展開
第4章 大名と村が向き合う
第5章 戦国大名の構造改革
第6章 大名の裁判と領国の平和
エピローグ 戦争の時代の終わり
著者等紹介
黒田基樹[クロダモトキ]
1965年東京生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。博士(日本史学)。専門は中世史。現在は駒澤大学、立教大学非常勤講師。史料をもとに戦国期の社会を多方面から読み解く気鋭の研究者である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えちぜんや よーた
107
百姓:「掠奪や飢饉から私たちを守ってくれへん?」戦国大名:「ええで。その代わり税金払ってや」。戦国時代は中世だが、近代の法治国家の原型を見ているような気がする。そのドライな双務契約が成立すると、毛利元就(安芸)のように家臣・領民が向こうから誓紙を差し出してくれるし、できなければクーデターが起こって武田信虎(甲斐)のように国外追放される。極めて合理的な社会システム。2015/01/20
岡本
64
戦国時代を扱った書籍の多くは大名をテーマにしており、一揆などの類い以外では普段は注目されない民衆をテーマにした一冊。本書の中には虐げられている百姓の姿は無く、むしろ村との良い関係を構築しようとしていた大名の姿が見える。普段知る事の無いテーマの内容だけにとても興味深い一冊でした。2016/09/21
AICHAN
50
図書館本。戦国初期の大名が戦争をした年と季節を調べると、圧倒的に多かったのが飢饉の後の年と収穫期の秋だった。このことから、戦国大名の多くの戦争は、敵地から食料を奪ってくるのが目的で起こされたと著者は推測する。当時の戦争では百姓も動員された。戦闘に従事する者もいたし荷運びで従軍する者もいた。彼らは敵地に入るとまず略奪を行った。収穫期を迎えた田畑から食料を刈り取り、蓄えてある食料を略奪した。それは新知見だと思ったが、「百姓から見た戦国大名」というタイトルとは違う内容に感じられた。2018/12/24
だまし売りNo
32
村と戦国大名は相互主義的な関係であった。明治以降の官尊民卑の固定観念を払しょくする。 2023/06/12
こも 零細企業営業
24
村社会の根源。相互補助の中でお互いに助け合いながら飢餓の蔓延る乱世を生き延びようと足掻いている。それが他の村への襲撃だったり、襲撃されたら防衛したりと荒れに荒れてる。さらに権力者へ庇護を求めたら住民を徴発されて戦に駆り出されて、侵略されたら田畑を荒らされて飢餓に苦しまされる。恐ろしいまでに過酷な世界だったのだと、、松戸市に何が原因で亡くなったか分かる台帳が御寺にあったとは驚き。それで寒くなったら死者が増えるのは、、やっぱり寒さは敵だったんだな。。豊臣秀吉から徳川綱吉まで大人しくならなかったのは納得。2022/06/26