• ポイントキャンペーン

ちくま新書
仏教vs.倫理

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 252p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480062871
  • NDC分類 181.04
  • Cコード C0215

出版社内容情報

人間は本来的に公共の倫理に収まらない何かを抱えている。仏教を手がかりに他者・死者などを根源から問い直し、混迷する現代の倫理を超える新たな可能性を示す。

内容説明

常識として通用してきた倫理では片がつかない事件が続発している。社会のルールをこうして逸脱するのは一部のおかしな人の問題ととらえられがちだ。だが人間は、本来的に公共の秩序に収まらない何かを抱えて生きる存在である。本書は、“人間”の世界をはみ出す「他者」、そしてその極限にある「死者」との関わりを、仏教の視座から根源的に問いなおす試みだ。混迷する現代の倫理を超える新たな地平を示すと同時に、日本仏教の思想的成果を丹念に抽出し鍛えなおす、渾身の一冊。

目次

倫理ぎらい
1 仏教を疑う(仏教も倫理も疑わしい;仏教の倫理性欠如;原始仏教の倫理性 ほか)
2 “人間”から他者へ(倫理の根拠としての“人間”;“人間”を逸脱する;他者の発見と宗教 ほか)
3 他者から死者へ(他者の極限としての死者;死者と関わる;死者が生者を支えている ほか)

著者等紹介

末木文美士[スエキフミヒコ]
1949年山梨県甲府市生まれ。東京大学文学部印度哲学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は、仏教学、日本思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Schuhschnabel

3
人間=「人の間」の関係を扱うのが倫理であるのに対して、死者など人間の理解を超えている関係、いわば超・倫理を扱うのが〈宗教〉であるべきだというのが本書の立場である。教義に関する形而上学的な議論ではなく、人間の素直な実感を基にして論を組み立てているので読みやすかった。世代間倫理などは倫理と〈宗教〉の両方にまたがる領域なのではないかと思う。2017/02/24

すがし

3
 宗教は人間(じんかん)の論理を超えるものだという、下手をすれば民主主義を否定しかねない(人権が通用しない状況も発生しうるという過程が、どれほど民主主義の根幹を脅かすか?)提言をまず明確に主張している点に深い感動を覚える。議論の前提にやや違和感を覚える部分のあるが、それも含めて著者が自分自身の言葉で読者との対話の中から自分なりの仏教観を掴み取りたいという真摯な息遣いを感じることができた。名著である。2011/05/29

hixxxxki

2
公共の場に登らない問題を切り捨てたところにこそ、今日のさまざまな問題が発生する根源があり、その極点に、異物としての他者、そして死者の問題がある。そもそも、死者こそが人間のルールや公共性を支えているのであり、公共をはみ出る問題は重要だ。そういった問題は、人の間の学としての倫理学ではなく、人の間を超え出る宗教の範囲であり、そこに宗教の可能性もある。といった感じ。死者が生者を支えているというあたりに知的興奮を覚えた。2012/06/27

KN

1
「そもそも僕に倫理について語る資格があるだろうか。僕は倫理とか道徳とかいうのは大嫌いで、今でもそういう言葉を聞くと、虫唾が走る思いがする。」(p.7)これほど印象的な序言もめずらしい。著者の特徴は日本の葬式仏教をある程度まで評価するところ。葬式仏教は死者と関わる点で世俗を越えた宗教的力を持ち、社会に根ざしている点で共同体の倫理と折り合えている、と。個人的には、仏教の核心はその非倫理性にあると思う。そこで重要になってくるのは、単なる道徳の否定ではなく、時代や社会と折り合うためのプラグマティズムであろう。2018/09/30

M氏

1
教養に溢れすぎ。一端には触れられたかもしれないけれど、思想が広大すぎて要約できない。 デカルトの思想以後、19世紀以降に実現されてしまった科学の論理は科学の域を超えて人間的生活の中の信仰となってしまった。分かる(分ける)ことにより語りを得る一方、分けることにより失われる語り得ないことがある。そしてそれこそ日常に隣接している現実的なものかもしれない。ないはある。つまり色即是空空即是色?だとするとあるもないのか。。。まだまだ未熟、悟りは遠い。2018/01/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/109459
  • ご注意事項