内容説明
ギャンブル、天気予報、ビジネスから人間関係まで、この世は不確かな事柄でいっぱいだ。私たちは、偶然に翻弄されながら、可能性の高さを見積もったり比較したりして、自らの行動を決断せねばならない。では、賢く適切な選択をするにはどうすればよいか?そこで強い味方となるのが「確率的思考」である。本書は、数字の苦手なわれらにも腑に落ちる平明な語り口で、確率のテクニックを駆使して考える術を伝授する。ツキの正体、統計数字のからくり、人づきあいやビジネスでの意思決定法など、魅力に富んだ事例満載で愉快に学べる一冊。
目次
1 世界は不確実性に満ちている(ツキに法則ってあるの?;確率法則ってなに?;確率だって使いよう)
2 データの眺め方ひとつで世界は変わる(統計も見方ひとつでとっても面白い;標準偏差で統計の極意をつかむ;確率の日常感覚はゆがんでいる)
3 確率と意思決定(ビジネスに役立つベイズ推定;人は、観測できない世界を見落とす;真似することには合理性がある)
不確実性下における選択の正しさとは何か
著者等紹介
小島寛之[コジマヒロユキ]
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程修了。帝京大学経済学部環境ビジネス学科助教授。数理経済学の視座から、社会における「公平性」の意味を探究する。数学エッセイストとしても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわん
20
2005年11月の本。数学者ではなく経済学者であることを改めて感じさせる本書。今や万民が知ることとなった「平均」2000万円という平均の愚。この時期にベイズ推定は先駆的?私にとっては、正20面体を転がし、2組の数を得て、この座標と1/4の円から円周率をモンテカルロ法で近似することが驚き。この三次元空間最大の面数を持つ正20面体の存在が不思議過ぎ。いわんや展開図が魅力的なこと。蛇足だろうけれども。2020/03/28
anco
18
「データに親しむ」ということは、「人間社会や自然環境に関心を持つ」ということ。数字に直し、数字に潜む特徴を引き出すことがデータ解析。動学的不整合性理論や貨幣錯覚、「結果を観測できない」選択があると、確率的な選択にはバイアスがつきまとうことなどが具体例を通して説明されていました。2017/07/27
K Oky
4
学校で教わる確率の大部分は受験にしか役に立たない、でも、学校で教わらなかった「確率的なものの見方・考え方」は人生を生きる中ですごく役に立つ…。 サイコロやジャンケンくらいなら確率的思考はイメージできる。それから更に複雑にしてビジネスや人の「生」の選択に及ぶところまでこの思考を拡大させていくのが本書。 本書後半、いくとこまでいくとどうやっても確率は不確定的、なんだか理屈の及ばないところまでいいってしまっている印象。 ただ確率はまだ若い学問、これからそれらが解明される時が来るのかなあ。2015/03/04
おらひらお
4
2005年初版。身近な事例を用いて確率的思考を紹介した本です。選択の正しさについて、いろいろと考えさせられた一冊です。2013/04/10
ごんた
4
高校生のころ、どうも確率の考え方に納得がいかず、「物事はすべて、起きるか起きないかの2分の1だ!」というところで合点が行き、つまり学校で習う確率はまったく理解できず、センター試験では確率の問題から逃げてたのを覚えている。そういう、確率の持つうさんくささというか、確率の限界をこの本ははっきりと見せてくれていて、なるほど!。あと、良かったのがベイズ推定。ひとまず主観的な確率から始めていって、情報が蓄積されるとより適切な方向に収斂していくという仕組み。これはデジタルだけでなく、自分の頭の中でも使えそうだぞ。2012/07/15