ちくま新書<br> 誇大自己症候群

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ちくま新書
誇大自己症候群

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  • サイズ 新書判/ページ数 249p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480062635
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C0211

内容説明

「普通の子」が、些細なことから突発的に凶悪な事件を起こす。彼らはなぜ、世間を震撼させる犯罪者になったのか?従来の精神医学ではとらえきれない病理を、「誇大自己症候群」という切り口から探る。そこに共通するのは、幼児的な万能感やヒーロー願望、現実感に乏しいファンタジー傾向、他者への共感性の欠如や自己正当化などである。そしてそれらは、とりもなおさず、現代の大人たち、ひいては社会全体に見られる心的傾向なのだ。本書では、この病理を徹底分析、自己の呪縛が肥大化した現代を検証しつつ、その超克を見据えた画期的論考。

目次

第1章 異常事態の根底にあるもの
第2章 誇大自己症候群とは何か
第3章 誇大自己症候群の悲劇
第4章 誇大自己症候群を生む現代社会
第5章 身近にひそむ誇大自己症候群
第6章 誇大自己症候群の克服

著者等紹介

岡田尊司[オカダタカシ]
1960年香川県生まれ。精神科医。医学博士。東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒。同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室にて研究に従事。現在、京都医療少年院勤務。治療の最前線に立つ臨床家の一人である。小笠原慧の筆名で小説を執筆。「DZ」で第20回横溝正史賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

香菜子(かなこ・Kanako)

22
誇大自己症候群。岡田尊司先生の著書。自己評価やプライドが異常に高い自分第一主義、自分優先主義の人が増えている現代社会。自分に自信を持つことは大切だけれど、誇大自己症候群で世間に迷惑をかけてしまっては本末転倒。適度な自己肯定感を身に着けるための教育制度が不可欠です。2018/10/06

こぽぞう☆

12
子育てしてる身として読むべきかと手にとったが、自分にも当てはまることが多く、反省しきり。しかし、病的あるいは犯罪者レベルまでなると話は違ってくる。新自由主義の現代社会で誇大自己症候群ははびこる。「戦争法案」よりも新自由主義こそが第二のヒトラーを産むのでは?2016/01/30

おらひらお

3
2005年初版。古今東西の事例を引用して、その特徴と問題、克服法をまとめたものです。いい方向に向かえば、大きな成果を出すことも可能なんですが、問題も多いようです。ただ、若干の自己肯定感は必要だと思います。2014/07/06

よく読む

2
自尊心が異常に高く、何でも自分の思い通りにしたがる人がいる。愛情剥奪と溺愛の間でバランスを失った愛しか受けなかったからだ。他人よりあまりに大切な自分の気持ちを優先させる。その人には、愛と支配は同一であり、それは優越と服従。女は母親のように面倒みてくれる人か、肉欲のはけ口以下の人しかいない。やった女の名前は語るべき戦利品。治療は、モデルとなる生き方をしている人に出会い、仕事でも福祉の点でもよいので、人のために生きることに喜びや幸せを見出すようになること。ニーチェやヘミングウェイやクリントンもこの症状。2017/03/07

806_shusaku

2
理想やプライドが非常に高く、他者に対して優位でいたいとの思いから、他人よりも自分の気持ちを優先させてしまう人、こうした人を誇大自己の人という。自己実現が過度に強調され、他人との社会性が軽視されてしまう社会は非常に危険だと思うが、現状の資本主義という宗教の下では、こうした状況が発生するのも必然なのかもしれない。我々はともすれば自分のために生きることが是とされる、しかし著者の言う通り本当の幸福とは人のために生きる心にあるのかもしれない。非常に考えさせられる一冊。2017/01/06

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