ちくま新書
義務教育を問いなおす

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  • サイズ 新書判/ページ数 318p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480062437
  • NDC分類 372.1
  • Cコード C0237

内容説明

いま、義務教育制度の見直しが急ピッチで進められている。だが、その方向は正しいのだろうか。義務教育は子どもと社会の根幹に関わるものだ。その在り方が歪むなら、社会もまた歪んでいく。本書では、教育社会学の第一人者である著者が、義務教育の意義を問いなおすことを出発点として、“強者の論理”に従った改革プランの問題点を整理し、「公の営み」としての義務教育改革を提言する。教育の再生を考える人のための基本文献。著者渾身の一冊。

目次

序章 問われるヴィジョン―どのような教育と社会の未来を構想するのか
第1章 危機に瀕する日本の教育
第2章 公教育・義務教育の意義と役割
第3章 二一世紀の義務教育問題
第4章 「ゆとり教育」の是非と行方
第5章 グローバル化時代の学力形成
終章 未完のプロジェクト―二一世紀の教育課題と改革・実践の指針

著者等紹介

藤田英典[フジタヒデノリ]
1944年生まれ。専攻は教育社会学。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、スタンフォード大学教育系大学院修了(Ph.D.)。東京大学教授・教育学部長を経て、国際基督教大学教授。中央教育審議会義務教育特別部会委員
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感想・レビュー

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きいち

33
一番の敵は、改革至上主義の源、日本の教育が危機だという「事実誤認」。ほんと、ちょっと俯瞰で実証データ見れば、あるいは、子ども三人別の学校行かせたらわかる程度の話なのに。◇お!と思ったのが、新自由主義的な改革に警鐘をならす藤田の追い求める教育が、先日読んだリクルートの研究者のいう「活躍できる若手」を育てる教育と、ほぼ同質なこと。つまり、真に企業の要望に応えるには早期選別は害、むしろ多様性と共生の教育が最適なのだ。◇原理から攻めるよりも現実からのほうが、いい落としどころにたどりつける。宮本常一的思考でいこう。2016/02/06

Nobu A

6
頂き本読了。同じ教育界に身を置きながら義務教育はあまり考えたことがなく、非常に勉強になった。著者は現職場の元教授。奥が深く、やや難解。教育は性質上、未完のプロジェクト。絶えず改善や誠実な努力を積み重ね、支え続ける営み。国際比較や良い取り組みを行っている国やその逆の事例を挙げながら「ゆとり教育」を検証。習得学習や探求学習等明瞭な用語で解説。社会を担う子供の成長を支える根幹である義務教育を問い、示唆に富む。最終的には競争原理と共生原理をどう調整するか、なのかな。より理解できるように少し時間を置いて再読必須。2017/09/21

サメ社会学者Ricky

5
能力主義やその反動、小泉政権の改革主義にさらされた日本の教育の問題点を指摘していく。法整備に関する内容もあり、なかなかボリューミーな仕上がりになっている。教育に関する本は本書が初なので、今後この分野も読み進めていく。2014/08/14

senkawa

5
日本の学力低下、ゆとり教育の影響が海外と比較してわかった。2014/05/06

siomin

2
義務教育政策の問題点を説いた新書。中身はかなり濃厚なので読む通すのはかなり疲れますが、当時の小泉内閣時代の新自由主義的な改革に警鐘を鳴らしています。内閣なり政府なりメディアなりいろいろ教育について述べますが、結局のところ現場の教師が混乱して疲弊し、最後には生徒が被害者になるということでしょうか。教育に改善点があることはそうでしょうが、その原因がわからずに改革ありきで、批判勢力の意見を聞かないと喝破しているのに同意します。2018/01/10

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