ちくま新書
金融史がわかれば世界がわかる―「金融力」とは何か

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  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480062161
  • NDC分類 338.2
  • Cコード C0233

内容説明

本書は、世界の金融取引がどのように発展してきたかを観察しながら、今後の国際金融の展望を、実務的な視点から考えたものである。国際金融という場には、金や銀という一時代前の地金の問題や、中央銀行の役割、変動する為替市場、金融技術、資本市場といった現代的な問題が複雑に絡み合っている。これを網羅的かつ歴史的に捉えることを試みる。

目次

第1章 英国金融の興亡―地金からポンドへ(ポンドと銀貨の長い歴史;ポンドがめぐり英国経済はまわる ほか)
第2章 米国の金融覇権―ポンドからドルへ(英国はなぜ動脈硬化に陥ったのか;新興国アメリカの挑戦 ほか)
第3章 為替変動システムの選択―金とは何だったのか(ブレトンウッズ体制の時代へ;変動相場制の幕開け ほか)
第4章 金融技術は何をもたらしたか―進化する資本市場(先物取引の誕生;金融技術はどう利用されたか ほか)
第5章 二極化する国際金融―ドルvsユーロの構図(ユーロの驚くべき金融力;米国の金融覇権を支えるFRB議長 ほか)

著者等紹介

倉都康行[クラツヤスユキ]
1955年生まれ。東大経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンで15年ほど資本市場業務に携わった後、バンカーストラスト勤務を経て97年よりチェースマンハッタンのマネージングディレクター。のちRPテック代表取締役、中央大学大学院経済学研究科客員教授、フィスコ取締役。日本金融学会会員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はふ

9
現代では、米国という圧倒的経済大国が築き上げていた、ドルが中心として経済を支えているが、何故世界はこのように米国のドルが力を持つようになったのかを、金本位制の時代まで遡り、各国の様々な動きを通して金融史の外観を掴める本書。金融力は、いつの時代でも常に回り続ける重要な歯車であり、金融の動きが必ず世界の事象に影響を与えているものである。そのような変化には、必ず理由があるもので、その原因を見つけて考察していくことが、時代の変化を読み解いていく重要な力となるのだろう。2022/04/19

たー

6
銀本位の時代から始まり、現代に至るまでの金融の発達を分かりやすくまとめてある。世界的な金融危機の前に書かれているため、デリバティブや証券化などの高度な金融技術の発達を肯定的に評価しているが、著者は今はどう思っているだろうか?2009/04/26

富士さん

2
昔読んだときは金融力という概念にとても感動した覚えがあったのですが、再読してみるとそうでもなかった。でも、デリバティブの技術が金という重石のなくなった価値媒体を安定させるために始められた、というのには目からウロコでした。お金自体が商品になる事態に、積極的に市場にのせることで定価を生み出し、それで安定を図ろうとするとは、実にアメリカ的な気がします。でも、所詮インフラであり、派生物である商品が表立ってボロ儲けする事態はどうなのでしょうか?「ディーリングルームの孤独の中での思索」では当然そこには触れられません。2014/09/22

ゐたふ

2
卒業論文の足掛かりとするために一読。新書ながらもたっぷりと内容があり、金融の歴史を概観することができた。変動相場制への移行は、紆余曲折の道を辿った金融史の中でも分水嶺を成していると私は考えるが、本書第三章からはニクソン・ショック前夜の国際状況をうかがい知ることができ、たいへん参考になった。ただし、「金融力」に関する叙述については、本書がリーマンショック以前に執筆されていることを十分に念頭に置いて読み進める必要があるだろう。米国金融システムやユーロはやや過大評価されている印象を受けた。2014/06/12

読書履歴

2
2005年刊。英国では1816年に貨幣法によって金本位制が導入され、1821年に兌換紙幣(ポンド)が発行、基軸通貨となっていく。当時の貿易決済のイメージは43、4頁。米国での金本位制成立は1900年。第一次大戦後、いち早く金本位制に米国が復帰し、ポンドとドルの基軸通貨争いをドルが制する。2次大戦後、ブレトンウッズ体制を経て、1971年のニクソンショックから変動相場制へ移行。変動リスクを管理するデリバティブズの導入と、ユーロ成立までを証券会社目線で楽観的に解説。2007年世界金融危機を意識するとフクザツ。2013/10/28

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