内容説明
数学と物理学の天才フォン・ノイマンや映画「ビューティフル・マインド」で話題を呼んだジョン・ナッシュが創始したゲーム理論は、社会のどの分野でも見られる協調と対立の現象を数学的モデルで厳密に分析することを目指し、ビジネスの現場から国家戦略まで多くの分野で影響力を発揮してきた。しかしそうした考え方は大きな壁にぶつかっている。いまや現代社会科学の支配的パラダイムにまでなりつつある「戦略的思考」のエッセンスと広がりを描くと同時に、そこから脱出する道をさぐる。
目次
第１章 囚人の罠、ゲーム理論の罠
第２章 計算する独房の理性
第３章 冷戦とゲーム理論
第４章 心の均衡
第５章 交渉と対話
第６章 進化ゲームと制度
第７章 遊びの破壊力
第８章 暴力の連続体
著者等紹介
竹田茂夫［タケダシゲオ］
１９４９年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了。ニューヨーク州立大学でＰｈ．Ｄ．を取得する。専攻は理論経済学。ベルリン自由大学助手を経て、現在は法政大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
16
ゲームの理論を一通り学んだ人向きの本ではないかと思われます。理論的な説明はないのでほとんど数式などが出てこずに、この理論についての応用の説明が中心となります。この理論をどのように社会的な分析に適用するのか、またそれを今後の社会でのどのような位置づけにしていくのかという観点が強い本だと感じました。まあ私は読み物として読んだので肩すかしのような感じはしませんでしたが。2014/06/12
mattu
7
ゲーム理論を理解していないと理解できない・・・。私の知識不足だ。2015/05/02
Humbaba
7
ゲーム理論はすべてのルールが整った上で行われるものである。しかし、実際の生活の場ではルールに従ってくれるとは限らないし、モデルどおりの動きをするとも限らない。だからこそ、ゲーム理論が必勝法には繋がらない。2010/03/28
ぶらり
4
ゲーム理論をその生い立ちから戦時における実践例等を引きつつ、幅広く詳細に学際的にそして批判的に解説。今や無視できない存在となった「ゲーム理論」を誤解や曲解を回避しつつ理解できる好著。私としては、筆者の批判的姿勢に異論あり。筆者は、ワルラス均衡とナッシュ均衡が論理的に同等であるとして、均衡追及を不毛としている。が、自由放任の下で達成されるワルラス均衡とおそらくは共通理解の高度化によって達成されるナッシュ均衡では、その達成過程が全く異なる。つまりワルラスを否定して制度主義化すれば、ナッシュ均衡に近付くのでは？2011/01/15
雨野
3
ゲーム理論の歴史とその内容を解剖した一冊。入門書であり、かつ批判書でもある。ゲーム理論が抱える合理性や共通知識や様々な問題を指摘している。それでも全く使えないわけではないだろうし、進化ゲームについてはさらに有用性があるのではなかろうかと思う。2010/12/30
