内容説明
「伝統」が、その担い手たちによって「作られる」ものであるという議論は、現代思想や文化人類学の領域ではそう珍しいことではない。けれども「伝統」の消費者たちにとっては、それにつきまとっているまやかしや杜撰さはあまり問題にならない。その事情は、明治維新によって急激な変化を強いられた近代日本でも同様だった。「伝統」が「求められ」、「作られて」いくプロセスを具体的に検証し、「伝統」を「求めて」しまう理由について考える。
目次
序章 ベティさんは、何故、秘密結社にいたのか
第1章 「母性」をめぐる伝統はいかに作られたか(民俗学者は何故、架空の血筋を求めたのか;日本人は母性が強い民族だから母子心中をするのか)
第2章 「妖怪」とはいかに語られたか(多民族国家論としての「妖怪」論;植民地帰順論としての「妖怪」論;「幽霊」の国家管理)
第3章 「愛国心」は「郷土」と「ムー大陸」へ向かった(「ユダヤ人」から「公民」へ;「郷土人」の気持ちは「外人」にわかるか;ナチズムと民俗学)
終章 可能性としての「公民の民俗学」
著者等紹介
大塚英志[オオツカエイジ]
1958年東京都生まれ。批評誌『新現実』を主宰
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