内容説明
日本人にとって「個性的な=独創性を備えた人間」を育てるという目標は、半ばトラウマのようについてまわる事柄である。では、その個性を彩っている独創性は、どのように形作られるのだろうか。ここで厄介なのは、それが、ある能力の欠如による結果として生み出される場合が多いということである。歴史に大きな足跡を残した六人の個性的な生涯をたどりながら、様々な障害が逆に独創性を形成していく意外なプロセスを解き明かす。
目次
第1章 うわの空のエジソン
第2章 癇癪持ちのアインシュタイン
第3章 外国語のできないレオナルド
第4章 古典嫌いのアンデルセン
第5章 付き合いべたなベル
第6章 落ち着きのないディズニー
第7章 知的障害はなぜ進化したか
著者等紹介
正高信男[マサタカノブオ]
1954年生まれ。1983年、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。学術博士。専攻は認知神経科学。アメリカ国立衛生研究所、マックスプランク精神医学研究所、東京大学理学部助手などを経て、現在は京都大学霊長類研究所教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sabosashi
7
マスコミにも名が売れているポレミックなサル学者が、著名な天才を取り上げ、わたしが初めに思ったよりずっと突っ込んだ読み込みを試みる。 エジソン、アインシュタイン、ダヴィンチェ、アンデルセン、ベル、ディズニーといった顔ぶれ。 一般にひと昔まえの天才は子どものときから学校教育に馴染めなかったということがよく言われる。 それはそうなのだが、もう一歩突っ込んでみると、その脳にある種の欠陥が認められ、まさにそれこそが起動力になったような形で特殊な才能が開花したと著者は述べる。 2015/09/12
maimai
3
歴史に名をのこした偉人ですが強烈な欠点があったり障害をもっていたという話には驚かされました。それでも大偉業を成し遂げたのは自分におきたことを+にとらえ長所を伸ばそうと努力したからなのですかね。2015/03/26
noritsugu
3
『サはサイエンスのサ』で紹介されていたので読んでみた。結構ひどい本も書いている著者だが、確かにこれはまともだった。著名な天才たちは万能ではなかった、逆に障碍ゆえに才能を開花させたのだ。2010/03/31
ぽん教授(非実在系)
2
宮城音弥『天才』と同じく、天才は社会適合しにくいような障害を主に遺伝的に患っているために起きる現象であるという立場に立っている。本書は2004年のものであり、宮城の時代と違って障害科学の知識が発達しているため、6人の天才をそれぞれ障害科学の知識を総動員する形でうまく説明できていると思った。2015/07/26
yuki
2
そういう「天才」ぼ部類の人たちの話なのか、と、題名と中身のギャップは感じた。「天才」を作るための話ではない。読みやすかったけど、自分に反映できるかというとそうではないかな。2013/01/04