ちくま新書
現象学は“思考の原理”である―シリーズ・人間学〈3〉

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  • サイズ B40判/ページ数 264p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480059932
  • NDC分類 116.7
  • Cコード C0210

内容説明

世界観や宗教、信念上の深刻な対立は、現代にあっても絶えることがない。現象学は、「信念対立」を調停し克服する原理として構想されたのにもかかわらず、現在、そのことはほとんど理解されておらず、種々の誤解にさらされている。本書はこうした誤解を解き、現象学の重要概念を分かりやすく解説してゆく。3部以降では現象学の方法原理を用い、人間そして社会の原理論の礎石をなす言語、身体の本質を探究する。本書は、「真理」を僭称する知に対抗する思考の原理としての現象学の、新たな一歩をしるす一書である。

目次

序 現象学は哲学の可能性を拓く
1 「思考の原理」としての現象学
2 時代閉塞を乗り越える原理―現象学の射程
3 言語の現象学
4 「欲望論」原論
結 現象学は「本質」についての学である

著者等紹介

竹田青嗣[タケダセイジ]
1947年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。現在、明治学院大学国際学部教授。哲学者・文芸批評家。フッサール現象学を深く読み込み、人間そして社会の原理論の構築をめざす。と同時に、近代哲学を根底から読み直す作業を進めている
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感想・レビュー

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またの名

13
古いパラダイムの思想に依拠するせいか「〜は誰の目にも明らか」を多用する独断的オリジナル解釈を振り回して巷の現象学理解から現代思想まで、ぶった切る。主義主張が乱立して何が正しいか分からない時代に信念対立の構造を原理から解き明かすものとしての現象学を提起し、フッサールの明快な試訳を示してるのは、ひとつの功績。しかしデリダを批判し発話以前にあるとされる話者の意図を復権したり、ラカンを認めつつ常にすでに欲望がシニフィアンに絡め取られているというテーゼに対してロマン主義的な美と欲望を擁護するなど、素朴な実体へ回帰。2017/04/30

さっとん

10
人間は自分の身体というハードウェアがもたらすエロス的な衝動と、こうありたいと願う価値判断の相互作用によって欲望を生み出し、その欲望に向けて自分を変革していくことができる状態を自由と感じる。社会はそうした個人の自由を制限することなく、むしろ拡張する余地を与えるような装置となることを志向する必要がある。経済学的な観点から見ると、個人の欲望の追求が、社会全体の利得の向上を達成するような状態。個人の欲望のあり方と、理想的な社会のあり方を考える上で大きく自分の考えを広げてくれた一冊。2019/09/05

ネムル

7
現象学の復権と現代の意義として同意はするが、本書のキモの欲望論とメルロ・ポンティ批判がよくわからず。むりくりを感じだして、集中力が切れた。

ソラヲ

6
筆者(竹田氏)は「現象学=信念対立克服のための思考原理」と捉えており、イデオロギー対立などの社会問題を現象学によって解決できると主張する。前半では「現象学的還元」の本質が取り出され、後半では現象学的方法を言語や身体に適用して考察するという構成。「形式言語で言語を解明しようとするからパラドックスが生じるのであって、だから形式言語ではパラドックスを解消することはできない」という考え方が衝撃的だった。どうやら本書は竹田氏の前書『現象学入門』の発展的内容らしいので、そっちを読んでからもう一度読み返してみたい。2014/11/11

大道寺

5
「竹田現象学」と言われているらしい、社会で生きることに役立つことを意識した現象学の理解。そうやって割り切って読めば面白い。しかし私はどちらかといえば竹田の言う「スコラ議論」がしたいのだ。2012/05/24

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