ちくま新書<br> 戦争倫理学

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ちくま新書
戦争倫理学

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480059826
  • NDC分類 319.8
  • Cコード C0212

内容説明

九・一一以後、世界は戦争に向かって地滑りを起こしているのかもしれない。こうした状況にあって、ともすると人は、戦争が生み出す悲惨な現実に慣れてしまい、正気を失ってしまう。まやかしの議論に乗せられないためには、戦争に関する最低限の議論を知っておかなくてはならない。本書は、そうした重要論点を整理し、戦争抑止への道を探る戦争倫理学の試みだ。同時多発テロに端を発する米国の軍事行動、ロールズの原爆投下批判、憲法九条問題などが取り上げられており、いま、戦争について冷静に考え、実りある議論をするための、重要な手がかりを与えてくれる。

目次

戦争に関する正気とは何か
戦争の二種類のルール―戦争目的規制(jus ad bellum)と戦闘経過規制(jus in bello)
連続テロに対する報復戦争は正当か―私の第一の反戦メイル
国家という猫には誰も鈴をつけられない―トーマス・モアの処刑とグローティウスの戦争論
アメリカの良心は「ヒロシマ」に「ノー」と言った―ロールズの原爆投下批判
ゲルニカを忘れないで―私の第二の反戦メイル
鉛の兵隊さんはどうして美しい制服を着ているのか―傭兵軍から国民軍への転換
カントの「永久平和論」
人は共和国のために命を捧げる―ヘーゲルの考えた国家と戦争の関係
戦争をした日本は有罪か―「東京裁判史観」と東京裁判の問題点〔ほか〕

著者等紹介

加藤尚武[カトウヒサタケ]
1937年東京都生まれ。東京大学大学院文学研究科(哲学)博士課程中退。千葉大学文学部教授、京都大学文学部教授などを経て、現在、鳥取環境大学学長。専門は生命倫理学、環境倫理学、応用倫理学。『哲学の使命―ヘーゲル哲学の精神と世界』(未来社)で第3回和辻哲郎文化賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Mealla0v0

3
タイトルが示す「戦争倫理学」とは、「正しい戦争とはなにか」という「正戦論」である。いかなる事態において戦争は倫理的に正当化されるのか、という問題設定。歴史的には正戦論の系譜はローマ教会の権威に遡る。だが、近代にはその宗教的権威は失墜し、主権国家の競合という国際秩序が形成されるが、この体制は世界戦争を抑止できなかった。戦後、国連などを通じて戦争権としての国家主権を制限する動きが生まれたが、いわゆる「テロとの戦争」においてこの反動が生じている。ここにおいて平和をどう基礎づけるのか。これが問われている。2020/05/18

オランジーナ@

3
示唆に富む本だった。永遠平和を目指して人類が何ができるだろうか。要再読。2017/10/18

大道寺

3
反戦の立場から、ただし戦争が嫌なばかりに戦争を議論することすら避けるのではなく、戦争の開始や遂行について倫理学者として議論を行っている。元は別々に掲載された文章の寄せ集めなのであまり体系立ってはいない。戦争に関する古今の議論について触れていく端緒とするという程度のつもりで読むのが良さそうだ。/『現代倫理学入門』でも感じたことだが、あまり良くない意味で、暑苦しいおじさんの説教を聞いているような感じがある。2013/06/19

田蛙澄

1
戦争は国家の権利だとする無差別主義と一切の戦争はなくすべきとする絶対的平和主義の間で戦争限定主義が出てくるが、これも結局はどこまでで限定されるべきかという点や、戦争権の否定と武力行使の容認という点で両陣営から批判される。決定的な立場を定めることの難しさ、また超国家的な体制がないゆえの不正な武力行使への制裁の困難さなどが示されつつも、途中のカントの永久平和論の箇所で段階的な軍縮による各国の武力放棄しかないのではと希望を語ってる点がやはり重要でありつつ、民主国家さえ好戦的でありうる点で理念にとどまる。2022/10/10

トゥーサー

1
気になっていた本だから読んでみた。内容は対戦時の内容や世界情勢について触れてないと難しい。太平洋戦争を軸に話が展開していくと考えていたので難しかった。とはいえ、戦火の中では生きることが最上の目的になりうるけど、戦争の無い今の日本のような社会では、「生きること」よりも「よく生きること」が大事だと思う。戦争は無くても、人の命が奪われてしまう事件、事故や災害は日々起きており、何が平和なのかを考えることは戦争有無で判断するのは危険だと感じた。戦争もとより平和について個人の意見を持つことが大事だと感じた本だった。2019/02/05

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