内容説明
「正義」とはいったいなんだろう?「秤」と「剣」に象徴される正義概念は、今日、都合の良い解釈によって混乱をきわめている。「均等性」の一義的解釈から生じる「悪しき平等主義」や、あるいは「力」で相手をねじ伏せようとする「他者批判の正義」など、巷に溢れる正義概念に対する誤解や曲解を一刀両断し、己の不完全性に目を向ける「まっとうな正義」を説く。目からウロコの「正義論」入門。
目次
序章 争いと正義
第1章 正義の源流
第2章 平等主義の問題点
第3章 庶民の正義
第4章 愛と正義
第5章 生命と正義
終章 道徳と正義
著者等紹介
山口意友[ヤマグチオキトモ]
1961年福岡県甘木市生まれ。90年九州大学大学院博士課程単位取得。現在、純真女子短期大学助教授。専攻は倫理学・応用倫理学。カント倫理学を専門にするが、現在は応用倫理に強い関心を持っている
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感想・レビュー
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うえ
6
論点多き良書「シルバーシートに座った若者を不逞の輩と判断する前に、なぜ若者はここに座っているのだろう、何か理由があるのではないかとなぜ考え及ばなかったのか」若者は義足だった「なぜ自分が席を替わってやらなかったのか…男はここに至りようやく「正義」というものは悪なる相手を批判することの中にではなく、その矛先を己の完全性へのうぬぼれに向けてはじめて成り立つことを悟った」「死は本人の意識に関わらず突然にやってくる…Xデーがいつなのかは誰にも分からない…如何に愛すかという視点よりも、如何に愛したかという視点が重要」2015/05/31
スズツキ
4
世間で語られる平等や正義といった倫理観は正当かどうか鉄槌を下す。ジョンソン政権下におけるアファーマティブアクションは正しいのかどうか。これは日本で現実に討論されている問題を先取りした書であった。2015/04/05
さるぼぼキング
0
平等主義は正義か、そもそも平等とは何か。 フェミニズムなどの権利主張を声高に唱える運動への違和感。 そういったものに納得を与えてくれる。 生命以上の価値があると主張は、同時に主張する人間の死への覚悟を併せて提示しなければ説得力を持ち得ない。 たしかに。2012/07/18
numainu
0
評価D2004/08/09
おの
0
?とてもよい。バイブルにしたい。2012/02/18