ちくま新書<br> 国家学のすすめ

ちくま新書
国家学のすすめ

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  • サイズ 新書判/ページ数 252,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480059116
  • NDC分類 311
  • Cコード C0231

内容説明

十九世紀後半、日本は植民地化の危機をしのぎ、かろうじて近代国家として独立することができた。その国家という枠組みは、今日、本当に時代遅れになってしまったのだろうか。そして「想像の共同体」や「創られた伝統」の真の意味とは何か。日常の生活感覚から国家の意義を問い直し、ユーラシア東辺部という地理的・歴史的環境に即した「この国のかたち」を考える。

目次

第1章 国家論の隘路(国家相対化論の隆盛;戦後の平和主義 ほか)
第2章 国家とは何か(国家は「実在」する;国家という制度の役割 ほか)
第3章 国民と民族(重層的なアイデンティティー;なぜ国民か ほか)
第4章 日本の国家をめぐって(国家建設と国際緊張;日本列島の国際緊張 ほか)

著者等紹介

坂本多加雄[サカモトタカオ]
1950年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。現在、学習院大学教授。日本政治思想史を専攻し、近代日本の知識人の言説を研究。「新しい歴史教科書をつくる会」の活動にも参加する
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

無重力蜜柑

11
「新しい歴史教科書を作る会」にも参加していた保守派の政治学者の新書。グローバリズムによる国家相対化論への反発を前提に、戦後政治学が語って来なかった「国家とは何か」という問いを語る。……という体だが、出版された当時(20年前)の個別イシューに対する雑感の分量が多いエッセイ的な内容。ただ、東大アカデミアで訓練を積んだインテリ保守が、どういう態度で政治問題に臨むのかのサンプルとして面白い。国家は我々国民の内面に「制度に対する期待と承認」として実在するという見方が、サールの『社会的世界の制作』を思い出させる。2023/04/15

うえ

5
「ヨーロッパでは、国民国家の成立以前に、中世以来イスラム勢力と対決する中で、キリスト教共同体というアイデンティティーが出来上がっており、ヨーロッパの一体感を支える基盤が歴史的に用意されていた…仮にヨーロッパでEUが完全な姿で出現しても、アジアでここ数十年の間に、そうしたEUのような広域共同体が出来上がっていく見通しがあるであろうか」「およそ伝統とは、過去に創造された建築物やあるいは生活様式・芸術・学問がそのまま存続していることを意味するわけではない。古い寺院など歴史的遺物は過去を想起する素材に過ぎない」2017/06/18

バルジ

4
再読了。ここ10年程の国際環境によって日本は抜本的な防衛力強化を始めとして「戦後平和主義」からの大転換を図った。本書は遡ること20年前に「国家」のあり方を問い続けた坂本多加雄の遺作でもある。時論部分は些か古さを否めないが、国家を相対化して得意になる人間を「児戯に類したふるまい」と一刀両断するその鋭さは色褪せない。そして何より今もなお問われなればならない「日本人」と「日本国民」の相違に関しても著者の指摘は未だに解決されえない。我々は国家の来歴を語りうるのか、激動する国際情勢の中で常に自問しなければならない。2024/01/28

バルジ

3
ある本で北岡伸一氏が著者のことを「何事も根源的に考える人物だった」と評しているが、まさに自分もこの『国家学のすすめ』を読んで同じことを思った。 「日本人」と「日本国民」との微妙な差異の指摘は興味深い。第四章の日本の「来歴」を基に現代日本の抱えている問題を抉るその姿勢は、独善的でない良質な保守言論人としての姿を垣間見せる。2017/09/20

ピラックマ

3
10年前の本だけど保守本流まとめとして使える一冊。2014/11/13

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