内容説明
今日のように社会構造が根底から揺らいでいる時代には、各自が固有の判断のもとに動くほかない。そのためには、オリジナルなスタイルをもつことが大切である。「できる人」はどのように“技”を磨き、上達の秘訣を掴んだのだろうか。スポーツや文学、経営など様々なジャンルの達人たちの“技”や、歴史の上で独特な役割を果たした人々の工夫のプロセスを詳細にたどり、新しい時代に求められる“三つの力”を提案する。
目次
第1章 子どもに伝える“三つの力”
第2章 スポーツが脳をきたえる
第3章 “あこがれ”にあこがれる
第4章 『徒然草』は上達論の基本書である
第5章 身体感覚を“技化する”
第6章 村上春樹のスタイルづくり
著者等紹介
斎藤孝[サイトウタカシ]
1960年静岡生まれ。東京大学法学部卒。同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程、慶応大学および立教大学講師を経て、現在、明治大学文学部助教授。教職課程で中高教員を養成。専攻は教育学、身体論。構え、技化、スタイルをキーワードに、教育・社会・文芸を対象として、身体関係論・スタイル間コミュニケーション論・授業デザイン論を展開中
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
129
技化より極意化の方が馴染みやすいかな?技化にも選択的集中と反復が必要。技化の原動力はなんと”憧れ”に起因する。癖でも”癖の技化”になり得、癖を有効に転換することも可能(奥が深いなぁ)。そして何より、技化に取り組むことで充実感が得られ、ヒトが有するエネルギーの循環がうまくいき(局所化や停滞が阻止される)、結果として心身のバランスが取れ、幸せな人生をすごすことに繋がる、と。個人的には”憧れが技化の原動力である”ことに感銘を受けました。良書。2015/10/24
morinokazedayori
44
★★★★一芸に秀でた人は上達の方法を熟知しているため、他のことに取り組んでも、なんでも一定の水準以上に上達できるという。スポーツ、映画、文芸など、様々なジャンルの古今東西の一流の人を例に出し、何事にも共通する「上達のコツ」について説く。特に第一章の「子どもに伝える〈三つの力〉」が、全体のまとめ部分に当たり、非常に面白かった。2016/06/02
Lee Dragon
30
一芸に秀でるものは他の分野でも通ず。 徒然草の引用が心に残った。ホリエモンやピーターフランクルと同じ事を言っている。1つのことを成すためには、他のことを捨てなければならない。まずは1つのことをものになるまで極めること。これによって、上達のコツが分かり、他にも応用が効くと。 著者はメルロ=ポンティが好きなのか、ひたすら身体的感覚の話をよくするイメージがある。しかし、他人の感覚を追体験するのは無理な話で、むしろ、他者の感覚を持つことが思いやりとか客観性にとっては大切なのではないかと理屈っぽい私は思ってしまう。2017/07/16
さきん
17
できる奴だなと思う人の特徴として、貪欲な成長に対する意欲、自身を客観視できる、そして、どんな場所、状況でも適応できる能力だと感じた。 2017/06/30
B.J.
13
質問力の高さを測る一つの基準は、その質問の裏にある課題意識の強さ。世阿弥「離見の見」・吉田兼好「徒然草」は、日本中世の上達論の巨匠。・・・本文より2020/02/15