内容説明
「人間」とは、自由で平等な近代社会を作るための発明品だった。そして、それは理性的で主体性をもつ個人のはずだった。ところが、巨大化し機械化する都市の孤独のなかで、この人間たちは気づかされる。「理性と主体性のある「私」なんて嘘だったんだ!」このときから「人間」は「非人間的」な存在へと急速に劇的に変貌していった。「自由な個人」から「全体主義的な群衆」へ、「理性的な主体」から「無意識に操られる客体」へ。何がどうして起こったのか。壮大なスケールで描きだす「非人間」化の歴史。
目次
序章 アウシュビッツへの旅
第1章 全体―個から全体へ
第2章 無意味―アヴァンギャルドからファシズムへ
第3章 未開―岡本太郎「太陽の塔」の謎
第4章 無意識―理性から狂気へ
終章 幼年期の終わりを越えて