ちくま新書<br> 群衆―モンスターの誕生

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ちくま新書
群衆―モンスターの誕生

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  • サイズ 新書判/ページ数 202p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480056566
  • NDC分類 361.62
  • Cコード C0210

内容説明

群衆とは何か。近代資本主義の誕生とともに、歴史と社会の表舞台に主役として登場してきた群衆。二十世紀のナチズムもスターリニズムも群衆社会がつくりだした全体主義の脅威であったことは記憶にあたらしい。一体われわれは、激流のような群衆化傾向に対して抵抗できるのだろうか。ポー、ボードレールやニーチェ、メアリー・シェリーらの群衆への驚き、カネッティやモスコヴィッシの群衆分析、トクヴィルの民主主義論、ルボン、タルド、フロイトらの心理学的考察など、さまざまな視点からその怪物的性格を明らかにし、現代人の存在のあり方を根源から鋭く問う群衆社会批判。

目次

第1部 群衆の本質
第2部 群衆の分析

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

10
最近、反原発デモや橋下現象などを見て両者に共通する根底要素、群衆について考えるのが必要だと思ったので手に取ってみた。群衆を一つの象徴にした今村近代論の入門という感じでかなり楽しく読めて幸い。近代以前の囲いこまれた集団とは違う、近代都市に現れる神出鬼没のモンスターとしての群衆を思想、文学両面から読み、抵抗線を探っている。群衆への畏れ、戸惑い、目眩を再現しようとした筆致が印象的で、なぜ人が群衆になりたがるかなんとなくわかった。蛇足だけどB'zの名曲「MONSTER」は群衆的怪物の本質をかなりよく現してると思う2012/07/10

かやは

9
群衆が原因で起こった具体的な事例、群衆がどのような行動をするか、が書かれてなくて観念的に話が進んでいくのでいまいちとっつきにくい。近代になり、人と人が密接に関わるようになって生まれた群衆という存在。それはもちだんごのように互いにくっつき合い 、平等になろうとする。同じ方向性に暴走するそれは、悪しき独裁者に簡単に操作されてしまう。世にはびこる「神話的物語」に「それは違うんじゃないか?」と少しでも指摘する意志を示すこと、それが群衆に飲み込まれないために大切なことである。2013/04/04

ヒナコ

8
ポピュリズムを考えるべく読んだ新書。内容としては、「群衆」に関するもので、なかなか興味深く読めた。 近代になり生産手段から自由になり、労働市場に参入しそこで賃金をえるようになった労働貧民は、それ以前の地域的・伝統的アイデンティティをそぎ落とされ、資本主義的価値体系の中に再編入された。そうして、同質性をもった「群衆」が誕生した。→2022/07/07

たむよ

7
群衆について熱く語りたい気持ちは分かるが、なんでもかんでも「これは当時の群衆を示した小説・分析と読めるのです」と説明されると読んでて疲れてくる。内容もそこまで深く切り込んだものとも感じられず、真新しさは感じない。同時期に出た松山巌の『群衆』には遠く及ばない。2011/03/22

大ふへん者

6
書店でパラパラめくってみて、タルドとカネッティの名があったので購入してみたが、そこは私の目論見違いであった。資本主義市場経済の発展による群衆の変質を分析するにあたって、様々の思想・文学を群衆論として読み替え援用しており、その試みは成功している。私としては本書の意義はもっと広く感じられた。というのも、今村氏の前作『貨幣とは何だろうか』の続編としても読めるし、民主主義論、主体論など多くの社会分析に示唆を与えうると思った。それほどに近代以降「群衆」について考察することの意義は大きいということだろう。2014/10/15

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