内容説明
貨幣を経済学の封じこめから解き放ち、人間の根源的なあり方の条件から光をあてて考察する貨幣の社会哲学。世界の名作を“貨幣小説”として読むなど冒険的試みに満ちたスリリングな論考。貨幣を人間関係の結晶化と見、自由と秩序をつくりだす媒介者としての重要性を説く。貨幣なき空間は死とカオスと暴力の世界に変貌するからだ。貨幣への新たな視線を獲得することを学ぶための必読の書。
目次
第1章 貨幣と死の表象
第2章 関係の結晶化―ジンメルの『貨幣の哲学』
第3章 貨幣と犠牲―ゲーテの『親和力』
第4章 ほんものとにせもの―ジッドの『贋金つくり』
第5章 文字と貨幣
エピローグ―人間にとって貨幣とは何か
著者等紹介
今村仁司[イマムラヒトシ]
1942年岐阜県生まれ。京都大学経済学部大学院博士課程を修了。東京経済大学教授。社会哲学・社会思想史専攻。1970年代中葉にフランスに留学。社会哲学・社会思想史の領域でマルクス主義・構造主義を乗り超える新しい思考の枠組の構築に意欲的に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。