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内容説明
日本はほんとうに農業社会だったのか。日本の社会はこれまで考えられていたより、はるかに早くから都市的・商業的性格が強く、貨幣経済が非常に発達していた。海と非農業民を切り捨てた歴史をふり返り、日本社会のイメージを根底から問いなおす。
目次
第1章 日本の社会は農業社会か
第2章 海からみた日本列島
第3章 荘園・公領の世界
第4章 悪党・海賊と商人・金融業者
第5章 日本の社会を考えなおす
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
33
再読。拾い読み。一番記憶に残っているのは水呑百姓の話。「水呑百姓」というと貧しいイメージがあるが、農地を所有していないために「水呑」に分類されただけで、廻船交易や金融業で儲けて実はかなりの金持ちだったというケースがある。▼学校で学んだことや昔TVで見たことが正しいとは限らない。歴史の常識もたびたび書き換えられるので、最新の知識を学ばないといけない。この本も出されてから20年経つので、今の常識からすると当たり前と思える部分があったり、逆にその後の研究により否定された学説が含まれているかもしれない。2016/03/13
kawa
27
(再読)能登・時国家の実証調査等から、百姓とは農民だけでなく、多くの非農民も含まれる概念で、それらから考察して、日本は農本社会だったという常識を疑い、商業や流通業の発達も著しい重商主義的見地から歴史を読みなおす必要性を主張する。その説には識者から批判もあるようだが、説得力充分で、ミステリーの謎解きのような趣き、歴史に対する知的興味が倍増する。親鸞の、悪人も往生できないはずはないという有名な「悪人正機説」も、時の鎌倉幕府の体制に都合の悪い、商工業者や非人をして「悪人」と定義しているとの記述、目から鱗。 2018/07/14
魚京童!
13
農民≠百姓の説明でした。2013/11/16
mataasita
9
面白い。百性=農民という完全な間違い。これは今でも歴史の教科書に円グラフが載っているけれどその影響はでかい。士農工商という言葉は死語にすべきだろう。土地を与えてその分の課税を国家の収入にという古代や江戸時代の政策が、農民が米をつくって生活、貧しい、飢饉で真っ先になくなった、など思い込みを生んだのだと分かった。水呑とは田畑ももてない百性(農民)ではなく、漁撈やら林業やら多様な職能人たちであったというのはなるほど!だった。特に中世のたくさんの豊かな職業があり、みなたくましく生きていた時代を想像しながら読了。2022/11/06
よしひろ
9
古代へのアンテナの感度をより鋭くすることができる一冊。地域を中心によりミクロな視点で大陸との関係をみていく。2016/03/28