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ちくま文庫
百鬼園戦後日記―内田百〓集成〈23〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 411p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480039033
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0195

内容説明

昭和二十年五月の東京空襲で焼け出されたのちは、雨露から身を守る堀立小屋が百〓(けん)先生の邸宅である。日記をつけるだけがやっとの三畳一間であるうえに、炊事場もなく、野天の厠に難渋する日々。だが、興到れば琴を弾き、めじろの囀りに耳を傾け、不意の訪問客に睨みをきかせ、晩酌の工夫に余念がない。敗戦直後から昭和二十二年五月末日まで、配給で食いつなぐ焼跡の暮しぶりと東京の世相を書き綴った貴重な日記である。

著者等紹介

内田百〓[ウチダヒャッケン]
1889‐1971。小説家、随筆家。岡山市の造り酒屋の一人息子として生れる。東大独文科在学中に夏目漱石門下となる。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などでドイツ語を教えた。1967年、芸術院会員推薦を辞退。本名、本田栄造。別号、百鬼園
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

九鳥

25
年頭に読んだ「東京焼盡」の続き日記。昭和20年8月から始まっているので、8月に読むと決めていた。焼け出されて厠も厨もない小屋の暮らしは大変そうだが、百鬼園は相変わらずで笑ってしまう。途中やっつけの部分があってちょっと飽きた。このお金の遣い方と酒への執念は読んでいる私の心臓に悪い…。それにしても悔やまれるのは、空襲で焼けたという幻のエロ小説原稿だよ。2009/08/20

ホークス

8
昭和二十年五月、五十六歳の百閒は焼け出され、以降三年間、三畳一間の掘立小屋に住む。電気も台所もトイレも無く、しかも雨漏りする。その上貯金も資産も無く、日本郵船の嘱託の仕事も切られる。しかしこの状況を「風流千万な乞食暮し」とうそぶく百閒。金が有っても碌に食物の無い中で、金も無いのに今日飲む酒のことばかり心配する。この時期高価な酒の為に原稿書きに精を出すかと言うと、これが片っ端から断ってしまう。では百閒が鼻持ちならない高慢か、勘違いのエリート主義者かと言うと断じて違う。とにかくこんな日記は百閒にしか書けない。2015/05/10

いきもの

3
戦後すぐなのにお酒の心配ばかり。2021/08/03

Gen Kato

3
再読。空襲で家を焼け出され、わずかな配給の中で窮乏生活に耐える百閒先生の姿がいたましい。2015/07/01

ikedama99

1
ようやく読み終えた。前半は合間を見て、後半はなんとなくテンポよく読めたのは、そのひょうひょうさに慣れたからか。戦中・戦後の日記はいくつか読んだが、この本ほどの「ひょうひょうな感じ」はなかった。時代のうねりにあらがう、うちひしがれるのが多かったが、百閒先生はそんなそぶりも見せず、3畳の小屋の中で、お酒を楽しみ、原稿を断り(うければいいのにとは素人考えか)、親しき人の面倒を見・・その時を生きている。他の本も読みたい。2013/09/24

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