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ちくま文庫
東京焼盡―内田百〓集成〈22〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480039026
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0195

内容説明

「八月十五日水曜日。今朝の放送は天皇陛下が詔書を放送せられると予告した。誠に破天荒の事なり。正午少し前、上衣を羽織り家内と初めて母屋の二階に上がりてラジオの前に坐る。天皇陛下の御声は録音であったが戦争終結の詔書なり。熱涙滂沱として止まず。」昭和十九年十一月一日から昭和二十年八月二十一日まで、アメリカ軍の激しい空襲により、東京が火の海となり、灰燼に帰するまでの惨状を克明に記録しつづけた戦時日記。

目次

一機の空襲警報
空襲の皮切り
神田日本橋の空襲
東海の激震
深夜の警報頻り也
用水桶の厚氷 空襲警報の手加減
大晦日の夜空に響く待避信号の半鐘
鹿が食う様な物でお正月
残月と焼夷弾
サーチライトの光芒三十幾条〔ほか〕

著者等紹介

内田百〓[ウチダヒャッケン]
(1889-1971)。小説家、随筆家。岡山市の造り酒屋の一人息子として生まれる。東大独文科在学中に夏目漱石門下となる。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などでドイツ語を教えた。著書多数。1967年、芸術院会員推薦を辞退。本名、内田栄造。別号、百鬼園(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

九鳥

11
日記として面白く読んだ。と共に、頭上に爆弾が降ってくる日常が64年前のこの地に存在していたことを思い出して、読後思わず東京の空を見上げる。お酒に対する執着と、どんな状況でも諧謔味を失わず、どうでもいいようなことを微細に記録しているのが百鬼園先生らしい。2009/02/01

うた

4
終戦までの1年間をつづった百閒先生の戦時日記。空襲警報はほぼ毎日のようにあるけれど、なんのかんの毎日をやり過ごす。戦争以外では酒に小鳥にラジオ、漱石関係の品々、”家内”と好きなものに対する目配せは細かい。百閒節といわれる俳諧味を込めた文章も健在である。仙人のように嫌なものや戦争とは距離をおきつつも、その行方には心配もするし、戦争終結の詔書が流れれば涙を流す。偏屈なじいさんであることには変わりないのだけれど、この人も色々考えていたのだ。2013/11/30

ikedama99

3
少しずつ読み進める。この後の戦後日記はすでに読んでいたが、戦争中の記録をここで読んだ。なんともすごい日記だ。政治的なファクターはほぼ皆無、ただ生活における行動の記録は、微に入り細に入り・・といった具合。解説の半藤氏の言葉にもうなずける。面白いというよりも、引き付けられるというのが正しい感じで、読み進めた。続きの戦後日記を改めて読みたいと思った。(本棚のどこにしまったかが不明なのが悔しい)2017/10/23

almondeyed

3
東京大空襲というと3月10日だけの事かと思いきや、5月25日もかなり酷かった。内田百閒はこの日に自宅を焼失したのだ。柳瀬正夢が命を失ったのもこの日。でもこの本で空襲の日々を追体験出来るのも、百閒先生が日記を丹念に清書してくれたからなのだ。たとえある日の日記の内容が腹下しと足の浮腫に関する記述に終始してたとしても。で、お酒が入るとその日はご機嫌w 一体どんな気持ちで本人は清書していたのやら。2014/03/29

tekesuta

3
百閒先生の作品としての日記は他の随筆と同じように実に具象性に優れていて、戦争というものの生活とはいかなるものなのか、ということをまざまざと教えてくれる。そこには物資不足ということが具体的にはどういうことなのかを書いているし、隣人とのいざこざも具体的。空襲警報の多さにもびっくりした。ほんとうにひっきりなしだったのね。 2012/04/20

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