• ポイントキャンペーン

ちくま文庫
残夢三昧―内田百〓集成〈16〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480038968
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

『「ほう、ほうと云って、人がかける時には火事は遠い」と祖母が云った。ほうと云う名前の鳥が火事場に飛んで来て、火をくわえて行くから、その鳥を追い払う為に、ほう、ほうと云って走るのだそうである。』(「炎煙抄」より)夢や無気味なもの、怖い雷や空襲、怖いけれど好きな火事…夢とうつつの境を往還する奇妙な味の随筆集。

目次

炎煙鈔
予行
沖の稲妻
火の用心
近火
蒸気喞筒
町の野火
煙塵
巨松の炎
雷〔ほか〕

著者等紹介

内田百〓[ウチダヒャッケン]
1889‐1971。小説家、随筆家。岡山市の造り酒屋の一人息子として生れる。東大独文科在学中に夏目漱石門下となる。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などでドイツ語を教えた。『冥途』『旅順入城式』『百鬼園随筆』『阿房列車』など著書多数。1967年、芸術院会員推薦を辞退。酒、琴、汽車、猫などを愛した。本名、内田栄造。別号、百鬼園
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

S.Mori

27
幻想的なことを書いた内田百閒の随筆集です。おそらく百閒は大人になっても、子供のような瑞々しい感受性を持ち続けたのではないかと思います。子供にとってはどんなものも新鮮で真新しいものに見えます。自分が知らないものは怖いものでもあります。そんな感性が発揮された文章ばかりです。ごく普通の土手について書きながら、いつの間にか向こう側の世界へ行ってしまう「土手」は絶品。この随筆集の主題とははずれますが、戦争中の爆撃を受けた経験を描いた作品では、迫真の筆致で爆弾の恐ろしさが書かれており、貴重な時代の記録になっています。2020/08/12

お萩

2
空襲の話があるのがなんだか意外に感じてしまった。こんな時代の人だったかと。そんな話までどこか飄々と達観しているような百閒先生。2014/03/14

gu

1
怖がりのくせになんだかそれを楽しんでいるようでもある。怖いという感覚を抜き出して形を与えたのがあの掌編群なんだろうと思う。2012/03/20

yunomi

1
火事、雷、台風、幽霊、悪夢など、日常に潜む恐怖に材を採った随筆集。怖いもの見たさ、という言葉があるが、百鬼園先生はまさにその口で、人一倍怖がりのくせに、わざわざ恐怖の傍に近付いてみたくなる。眼を塞いだ両手の指の隙間から見え隠れする、臆病なのにどこかふてぶてしい眼差しこそが、百間文学の秘密なのかもしれない。2010/05/16

ay75

0
”覚えていれば夢に見ることもあるだろう。夢の中でいいから、その道をもう少し川下の方へ行って、町が切れたら土手になるから、その上をもっと先の方へ行きなさい。”2015/08/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21187
  • ご注意事項