内容説明
与八が龍之助の一子・郁太郎を養育する武州沢井村。当地で寺子屋を開いたお松は、多忙ながら充実した日々を送っている。一方、染井の屋敷を焼き下野栃木に逼塞していた神尾主膳は、再び江戸へ舞い戻った。根岸に隠れ住み、悪仲間とよからぬ企みに耽る。そのころ、武士あがりの大道絵師・田山白雲が茂太郎を伴い、安房洲崎に駒井甚三郎を訪ねた。その駒井の試験所に一夜、碧眼の異国人が闖入した…「みちりやの巻」「めいろの巻」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
19
ますます竜之助は出てこない。マドロス氏という異国人が登場。どうなるか。民謡とか説話とか、挿話の占める割合が増加し、カオスがカオスを呼ぶ。もはや筆者が「この前、ここに書かれてる温泉地に行ったんだけど、結構良かった」的な、時代劇でも何でもないエッセイ的な記述も出始める。しかし、屋敷を焼き尽くす大火を間近に見つめながら、お銀様が語る「すべてを灰にする火の平等さこそ愛である」という言葉と、弁信の「ものを育み育てることが愛である」という、愛についてのやりとりは映像的でもあり大菩薩峠屈指の名場面である。2021/03/06
きょちょ
16
「みちりやの巻」と「めいろの巻」。前巻同様中だるみかなぁと最初は思ったけれど、そうではなかった。悪党の一人神尾主膳、早く天罰が下ればよいのにと思っていたが、少し人間が変わっていく。忍者のような七兵衛と息子与八の再会。七兵衛は与八を幼子の時捨てている。七兵衛は与八を息子と気付くが、与八は七兵衛を父親と気付かない中での、七兵衛の与八への言葉は実に哀しい。お銀様は裕福な実家へ戻っても幸せになれない。弁信坊主はよく喋るので鬱陶しいのだが、出てこないと寂しい。そのお銀様と弁信の会話は、お銀様に軍配を上げる。★★★★2016/05/12
ソングライン
9
お勝の浅草観音への奉納絵を依頼された絵師田山白雲は洋学修行のため安房州崎の駒井甚三郎を訪ね、孤児であった与八とともに寺子屋を開いたお松、彼女を見守る盗賊七兵衛が与八を捨てた父親らしいことが明かされます。白骨で湯治する机竜之助の視力に回復の兆しが見られ、竜之助を探す宇津木兵馬は浅間温泉で芸妓とのトラブルに巻き込まれ相変わらずの優柔不断振りです。2023/10/21
ジュール
4
話が分散し過ぎでついていくのに一苦労。2019/10/06
Terry Knoll
1
ますます混沌とした世界へはいってきました。2018/12/25