内容説明
ジョバンニとカムパネルラの出会いと別れ…悲しみを乗せて永遠に夜空を駆け続ける銀河鉄道―。宮沢賢治原作の名篇が流麗かつ生新な英語版で蘇える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykshzk(虎猫図案房)
19
他の親子を押しのけて救命ボートに乗るより、子供達を抱いて海に落ちることをほんとうの幸いとした家庭教師の葛藤、彼にかける灯台守の「なにがしあわせかわからないです」という慰めの言葉の箇所。蠍の懺悔の箇所。などなど、日本語で大事に思っていた箇所が英語でどうなっているのかを読んでみたくて手に取った。英訳の良し悪しは解説を読む限り折り紙付に違いない。死ぬこと、生きること、ほんとうの幸いとは、を考える時間をくれる本。右ページ日本語、左ページ英語、なので英訳を気にせず日本語だけで楽しむことも良し、英語の勉強にも良し。 2022/08/17
ひよこ豆
4
鉄道の車内から見える景色が柔らかく美しかった。人それぞれ目的地で下車していく様子が運命であり逆らえない。寂しいけど着いたという安堵感が伝わってくる。異世界のお話だけど現実と結びついた不思議な物語だった。2017/04/16
Qねこ
3
英語にはない日本語の美しさが際立つ。特に賢治の豊かな色彩感は日本語でしか味わえないだろう。2010/09/02
ちさ
2
英訳を読むのは初めて。英語の言葉選びがとてもきれい。「パンの塊」が、loaf of bread と訳されていたりするところも好き。英語を読みながら、宮沢賢治独特の言葉の美しさを楽しめた。2014/04/21
Moeko Matsuda
2
この作品の英訳は他にも読んだことがあるが、最も原作の雰囲気に近い感じで読めて、とても良かった。ただ、本の作り方としては不満も残る。別に対訳ではないのだから、英語と日本語をそれぞれまとめて収録した方が良かったのではないだろうか。宮沢賢治は「音」を大事にした作家だからなのか、別言語で読むと全く雰囲気が違う。どちらにも良さはあるが、やっぱり本当に作品を味わいたければ原語が一番だと改めて感じた。2013/07/26