内容説明
舞台は、ヨーロッパ、アジアの両大陸から南島、横浜、神戸まで―。故国を去って異郷に住む“国際人”の日常にひそむ事件のかずかず。コスモポリタン誌に１９２４～２９年に連載された珠玉の小品３０篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
（C17H26O4）
88
アメリカの月刊誌『コスモポリタン』誌に掲載された作品で、一九三六年にまとめて掌編集として刊行されたものとのこと。ショートショートの味わいがある。「いちどきに全部読むとすれば、大変退屈するかもしれないが…折にふれて、一つか二つお読みになれば…」と前書きでモーム自身が書いているように少しずつ読むのが丁度よい。でももちろん退屈であるわけがない。大きな驚きや衝撃はないが、オチだったり、皮肉だったり、仕込まれた毒だったりが、じわじわと間違いなく感じられる面白さがあり、堪能した。2020/06/20
seacalf
43
どうしよう、すごく面白い。お見事！モームが旅先で出会った人や近隣の人、そして彼自身の知人から選ばれた世にも稀なる人物達のスケッチ集なのだが、これが予想を上回る面白さで嬉しくなっちゃう。異国の士、生家、物識先生、詩人、ルイーズ、約束、洗濯盥、社交意識、挙げればきりがないほどユニーク、且つ気が利いてる話のオンパレード。すごく好き。一昔前の、文字通り世界の荒波を越えてきたおじさんから、酒を片手にくつろぎながら面白い話を聞いてるような、そんな愉快な読書だった。おすすめ！2017/04/18
りつこ
32
ごくごく短い短編だけど、モームらしい皮肉やユーモアがたっぷりで楽しい。モーム自身が出てくる作品も多く？エッセイのような味わいもあり。人を見る目が厳しい～。特に女性に対して辛辣で「ひぃー」と腰が引けつつも、面白かった。集中して読むより、気が向いた時にぱらぱら読むのに向いているかな。2018/01/27
Speyside
26
1924〜29年にコスモポリタン誌に連載された30編の短編集（当時はファッション誌ではなく文芸誌）。どの作品も10ページ前後の超短編だが、とても味わい深い。すぐに次の作品に移ってしまうと余韻が薄れそうでもったいなく、一遍一遍、間隔を空けて読んだ。 生涯世界各地を旅したモームが、旅先で出会った個性的な人々をモチーフに物語が紡がれる。例によって、性格に難ありな人物も登場するのだが、作家は彼らの中にも美点を見出す。皮肉屋とよく称されるモームだが、人間への眼差しがとても暖かい人だと思う。『物識先生』が特に好き。2020/07/13
ポルコ
26
各国様々な人々の滑稽で皮肉で物哀しかったり、キュートだったりするショートストーリー集。文体がユーモラスで、とても楽しい。2018/02/03
