内容説明
幸福―朝の歯ブラシにひそみ、暁の焼酎に住み、白昼の店頭に、清浄な田園山野にも住んで、いつでも人間の健康をむしばもうとしている。…愛国心、体面、教育などの概念を、時にはグロテスク、時にユーモラスな虫の姿として表現し、その絵に鋭く的確な文章を付した風刺画文集。刊本『虫類図譜』に収録されなかった作品も収めて完全版とする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
先日、この本の幾つかを抜き出したものを読んですべてを読みたくなり手に入れました。よく考えてさまざまな風刺をしている気がします。しかも絵が線描画のようでよくよく見ると気持ち悪くなるのもあったりします。「金融」という虫は白紙なので皆さんが自由に文章から想像してください、ということなのでしょうか?あるいは「無」ということなのかもしれません。2017/07/17
あやかしゃん
5
歯磨き中やトイレで読むのにちょうどいいと思っていたら、「幸福」という虫は歯ブラシにも隠れているらしい。けっけっけと笑っちゃうようなものもあるけれど時代なのか、感性の違いか、「そうかしら?」と思うものも。さて、今わたしについている虫はなんでせう。2015/12/18
こずえ
4
楽しい。たしか今年復刊されたのですが、復刊セレクトした方々素敵です。否定でも肯定でもない風刺の視点がある世の中はまだ余裕があるのだと思う。そんな隙間がどんどんなくなってる今、辻まことを手に取れたのは嬉しい。2015/12/22
ともりぶ
2
風刺画文集。たぶん何年か前に書評集か何かで知り、読みたいリストに入れておいたのをやっと読む。空想の虫の絵がちょっと気持ち悪いが面白かった。2019/02/08
ymazda1
2
この本みたく変な虫の線画に皮肉の効いた文章を添えてみたり、山岳雑誌に山のエッセイと表紙画をふつうに寄稿してみたりと、なんとなく掴みどころのない人だけに、この本を読んでから時間がかなり経ってるけど、父の辻潤や母の伊藤野枝とのことも含めて、ホントはどんな人だったのか、いまだに気になる人だったりする。
-
- 和書
- 水の健康診断 岩波新書