ちくま文庫<br> 宇宙の操り人形

ちくま文庫
宇宙の操り人形

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 339p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784480025968
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ある日故郷へ戻ってみると、そこは街並も住民も見覚えのない見知らぬ街になっていた。いまいる自分は一体何者なのだ?―光の神と闇の神の対決に巻き込まれた男を描いたファンタジー長編の表題作。そのほか、「奇妙なエデン」(本邦初訳)、「地球乗っ取り計画」など、初期の短編三作を併録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

145
P.K.ディックによる長編(中編)と短編2作が収められた作品集です。長編はファンタジー色が強く、映画で見た「ブレード・ランナー」の萌芽が見て取れる感じがします。自己のアイデンティティを確認していくような感じです。短編3編もどちらかというとSF的というよりも最近のバブル時代のような話もありました。2017/02/26

催涙雨

53
中編程度の長さでありながら一応長編に分類される表題作と三つの短編を抱き合わせた一冊。どれも再録されていない。表題作はホラーテイストのローファンタジー的な世界観を呈しており、感触としてはキングの作品に似ている。ディックと聞いて連想するあのテーマをSF的なガジェットと完全に切り離された奇想的世界観のうえで楽しめる点では、かなり珍しい作品といえる。帰郷した片田舎が記憶とはまったくの別物で、記録上自分は死んだものとされていた。この世界は、自分はなんなのか?と、もはやお馴染みのオブセッションが展開されるわけだが、あ2019/09/06

ニミッツクラス

13
92年の本体660円の初版。初期の長編(量的には中編)となる表題作と、短編3作を収録。54年の短編「奇妙なエデン」は本書刊行時には初訳で、今なら没後に多数刊行された日本オリジナルのどれかに入っているのかと思って検索したが、本書(ちくま文庫)だけのようだ。短編はどれも“普通”に面白い。このネタでこの収束で、いま小説を書いたら金返せって言われるだろうが、「地球乗っ取り計画」の、何なのか焦点の合わない感じが著者らしくも思える。表題作は・・アイデンティティの確認に執念を燃やす男の物語・・まさにそれ!。★★★★☆☆2015/11/24

王天上

7
ディックの未読本が一冊減ってしまったなと思いながら、読了。ファンタジーは苦手なのだが、こういう日常に端を発するものなら、面白く読めるなと発見した。解説ではあまり面白くない未訳作品もあるそうだが、マニアとしては全部読みたくなるので、どこかで翻訳してくれないかなあ。2016/02/23

roughfractus02

6
作者の作品では、自己の不確実性という主人公設定は、偽の世界というテーマに繋がっているのだが、本書はその繋がりが作品を凡庸にすると批判される。確かに、帰郷した主人公が馴染みのない眺めに愕然として、自分が9歳で死んでいたことを知るという前半が、光の神と闇の神の戦いから生じる世界の複数化の効果わかる後半が、原因と結果の関係に収束してしまうからだろう。一方、作者の後期の作品を読むとこの関係の神秘化の傾向が逆に際立つ。この関係自体の一貫性は、ドラッグで苦痛と化した世界からの脱出のモチーフの反復として症例的に読める。2020/05/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/429559
  • ご注意事項

最近チェックした商品