内容説明
市井の闇に跳梁跋扈し、三面記事の主役となったアンチ・ヒーロー、ヒロインたち。虚実皮膜の間にある事件の真実に、軽妙な筆さばきで迫り、人びとが生身で演じたドラマを再現するクライム・ストーリー集。高橋お伝から宮崎勤まで、明治以後の代表的犯罪者たちのシルエットで近代史を綴る人名録を付す。
目次
三面記事考―序にかえて
底辺―人非人吹上佐太郎伝
村落―狂恋鬼熊事件
美談―天国に結ぶ恋の顛末
蒸発―女子高生籠の鳥事件
差別―何が彼女を嬰児殺し
家族―マイホーム合戦姑殺し
権力―競争社会弟殺し
財産―勤倹貯蓄双鑑
景気―詐欺師自転車操業
崩壊―天城山子連れ心中
犯罪紳士録 明治大正昭和
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
20
ロリコンの殺人鬼吹上佐太郎からカツラの結婚詐欺師まで、著者のアンテナに引っかかった人物を並べている。犯人の生い立ちから調べ上げ、関係者の声を聞いたり、裁判を傍聴したりしながら、ノンフィクションを脚色豊かなドラマに仕立て上げる著者。感情移入も濃厚で、被害、加害の別に拘らず、どちらかに肩入れする傾向があるが、ストーリーが巧みな故か、著者の謂いに納得してしまう。2021/10/07
章魚 たこ
3
実に面白い。明治から平成初期までの「鬼熊事件」「天国に結ぶ恋」「高橋お伝」などなど、有名な事件を中心に”犯人”の背景に迫る”読み物”。正義をふりかざすんじぁない。世相に対する批評もいいし、”犯人”への眼差しもいい。スゴイ本なんですよーーー。2022/01/31