内容説明
笑っている木がいる。呟いている木がいる。怒っている木がいる。歌っている木がいる。どの木もいい顔をしている。したたかな表情をしている。大地のどっしりと根をおろした木に憧れ、恥じらいを持ち、ひたすら遠くからシャッターを切る丹地保堯。70枚の写真と谷川俊太郎の一行詩が響きあいながら自然の大きさ、美しさを紙上に再現する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa@レビューお休み中
18
木々は泰然とそこにある。あることが当たり前で普段は気にもとめていないのに、改めて木々の美しさを突きつけられると唖然としてしまう。どの木も同じ形などはなく、非対称であるにも関わらず美しいのだ。春も、夏も、秋も、冬も変わらずそこにある。そのことに、もっと僕らは注意するべきなのかもしれない。そっと添えられた谷川俊太郎の詩は、たった一行の短い言葉なのに鮮烈な印象を与える。そこには、人と木の区別すら存在しない。2012/05/02
新田新一
14
写真家の丹地さんの木の写真に、谷川さんの1行詩をつけたもの。本当に素晴らしい一冊で、読むたびに心を揺さぶられます。物も言わず立ち続けている木々の凛とした美しさを見ると、心が洗われ自分の背筋も伸びる気がします。谷川さんの1行詩は凝縮した表現で、木の美しさを描き出します。今回は特に「鏡をもたないから立ち姿それぞれに美しく」という詩に、強い印象を受けました。2024/03/11
kinupon
14
この自然をいつまでも残してきたいです。2014/08/06
TANGO
10
丹地さんの絵画のような美しい木の写真と、谷川さんの一行詩が織り成す1冊。静かでありながら、雄弁に語る写真。一行でありながら、雄大な力を持つ言葉。乾いた心に染み込ませるように、読了。2013/09/20
あやかしゃん
3
古書で買ったら偶然丹地さんの署名入り。様々な木の写真の中でも、ふわりとやわらかそうに見えて猫の背中のように撫でてみたい錯覚が起きる、緑の木々の鳥瞰写真、詩の「地の和毛」という表現がしっくりきた。2015/12/03