内容説明
1964年夏、奇妙な誌名のマンガ雑誌が、ちっぽけな出版社から創刊された。この「ガロ」のともした小さな炎は、またたくうちに大きく燃えあがり、驚異的なマンガ文化隆盛へとつながっていった。名物編集長が綴る戦後マンガ出版の裏面史。
目次
第1章 『ガロ』創刊のころ
第2章 大陸での夢と現実
第3章 特価本と赤本の世界
第4章 三洋社の時代
第5章 『ガロ』売れだす
第6章 個性豊かな新人たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaoru
73
漫画が日本の文化と認められ漫画家が勲章をもらう時代になったが、その礎を築いた人々の物語。白土三平と共に『ガロ』を創刊した長井勝一氏の自伝。『カムイ伝』の連載、つげ義春、水木しげるなどの投稿などが『ガロ』の全盛期をつくった。夢を抱いて満州鉱山に就職するが1945年に帰国、敗戦の混乱のなかで闇屋を経験した後漫画出版に手を染める。白土三平との出会いが転機となり『ガロ』に連載された『カムイ伝』は全共闘世代にも影響を与えた。白土氏の最初の構想通りカムイがシャクシャインの叛乱に関わる物語になれば『カムイ伝』は⇒2021/09/18
だーぼう
24
凄いと妄想を膨らませていたけど、結局やっぱり凄かった。ようやく「ガロ」の全貌を知ることができた!ブログに感想を書きました。2016/05/28
ステビア
14
山師に憧れて満洲へ、そして貸本出版から『ガロ』創刊へ。気取らぬ文体で読みやすかった。2020/03/21
SKH
10
漫画の歴史を黎明期から垣間見れる。白土三平、水木しげる大先生の若き日の貴重な逸話。199X。2013/08/25
モルテン
9
雑誌「ガロ」を創刊し、初代編集長を務めた著者の半自伝と「ガロ」の話。編集というより、出版会社を作り、そこで雑誌を創刊し、その雑誌を継続させていく道のりにボリュームがあった。著者が出版会社を設立して、若くて貧乏で漫画を描くしか道のない多くのマンガ家に手を差し伸べることができたのは、「山師」として一儲けを成功させた過去と、その商売を(決して血眼にならず)継続させようという意思があったからだと思う。序盤はあまり著者のマンガへの熱意が描かれていないけれど、漫画家を人として捉え、その漫画のどこが良いかを的確に掴む→2020/10/12