内容説明
透視力を持ち、妖精から特別の能力や薬草の知識を与えられた妖精学者の話、常若の国や妖精界、他郷、あの世などの淵に立ち現われる魔女、巨人、悪魔、幽霊、また半神半人の英雄、王や聖者の伝説など、目に見えぬものたちが目に見えるものたちと互いに関わり交り合う幻想の世界が展開される。
目次
魔女(ウイッチ)、妖精学者(フェアリー・ドクター)
常若の国(テイル・ナ・ノグ)
聖者、司祭
悪魔
巨人
王と戦士
王妃様、王女様、王子様、盗人などの話
幽霊(ゴースト)
悪霊
猫
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
神太郎
28
ケルトの人たちの民間伝承を集めた作品。怖いと言うよりもどこかユーモアに富んだ面白味のある作品が多い。どこか昔聞いたことがあるような話(日本の民話にも近いのがあるかも?)から土地柄のような話まで。昔の人たちの自然観、そして我々の持つイマジネーションの源流を辿っているかのよう。悪魔にしてやられるのではなく逆に引っ掻けて翻弄させたりするのは人間の欲深さが良く出てて「生きてる人間が悪魔なんかよりも恐ろしいのかもしれぬ」と思った。所々翻訳が変なところもあった気がするが目をつぶれる位にどれも魅力的。時間かかったけど笑2021/03/25
やいっち
25
民俗学者でもあったイエイツが「アイルランド各地方の農民や漁夫など人々の間に口碑として伝わっていた昔話や妖精物語を自ら蒐集し記録した。併せて、他の作家たちが再話した物語も含め選択編纂し何冊かの本を刊行した。本書はその中から更に選択編集したもの。アイルランドには、キリスト教の影響を受けることが遅く、イエイツの生前(特に少年の頃)には農民の間に自然は霊的な力を持つという汎神論、霊魂不滅や・転生を信じる心が伺えたのだろう。イエイツには、彼が言う未開人の心性への親和性が子供のころからあった。 2017/12/05
木賊
11
W.B.イエイツが収集し、或いは他の作家達の再話を選択編集した物語67篇、詩13篇のうち、『ケルト妖精物語』収録作品以外を収めたもの。興味のある分野なので読んでいて楽しいのだが、全く詳しくないので解説が欲しい。自分の感覚だと何故そうなるのか分からない時があって、その物語を成立させるアイルランドの歴史や文化、そこに根差す人々の考え方が知りたい。2022/03/18
テツ
9
英雄に王、妖精に悪魔に巨人に幽霊。そうした方々が跳梁跋扈&大活躍する日本人にもお馴染みのケルト神話。ゲームや漫画に使われている元ネタも多いのでケルト神話自体を知らなくても脳みその片隅に断片的に刻まれているモノが多い筈。異国の地の神話、その地に伝わる物語を読むことはそこに暮らす人々を理解するための第一歩であると思うのだ。スピリチュアルでカオスで神々がすぐそばにいるアイルランドの神話は日本的なのかな(神話は大なり小なりそんなもんだけれど) 読んでいるとケルトの世界にトリップしそうになる。神話は面白い。2016/07/10
マツユキ
7
FGOをきっかけに、ケルトがらみの本を探していました。ちょっとだけですが、知っている名前が出てきた。よく分かっていないんですが、アイルランド民話集で、知っているお話も、ちらほら。魔女に、妖精学者、悪魔など、幻想的なんだけど、やりとりが面白く、 妙に現実的なところもある。幽霊が出る理由に驚く事、二回。読むのに時間がかかりましたが。面白かったです。『ケルト妖精物語』も読もう。2018/08/26