ちくま文庫<br> 中世の星の下で

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ちくま文庫
中世の星の下で

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  • サイズ 文庫判/ページ数 369p
  • 商品コード 9784480020970
  • NDC分類 230.4

内容説明

遠く中世ヨーロッパの庶民たちはいったいどんな暮らしをしていたのだろうか。私たちはここで、例えば石、星、橋、暦、鐘、あるいは驢馬、狼など、日常生活をとりまく具体的な〈モノ〉たちと中世の人人との間にかわされた交感の遠いこだまを聞くことができる。さらに兄弟団、賤民、ユダヤ人、煙突掃除人などを論じた文章の中に、被差別者に対する暖かい眼差しを感じながら、目に見えない絆で結ばれた人と人との関係を再発見することができる。中世社会は日本を写し出す鏡でもある。

目次

1 中世のくらし(石をめぐる中世の人々;中世のパロディー;オイレンシュピーゲルと驢馬;中世における死)
2 人と人を結ぶ絆(現代に生きる中世市民意識;中世賤民身分の成立について;病者看護の兄弟団;中世ヨーロッパのビールづくり;オーケストリオンを聴きながら)
3 歴史学を支えるもの(文化の底流にあるもの;西ドイツの地域史研究と文書館;アジールの思想;私にとっての柳田国男)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

蛭子戎

2
ヨーロッパ中世史の権威が書いた中世エッセイ集。途中講演も入ってきていきなり文体が「ですます」調になってビックリした。内容は著者の歴史哲学みたいなものが平易な文章で理解出来る良著。狼人間の話がまんま人狼ゲームなのが面白かった。2016/05/28

なすびぼし

1
中世ヨーロッパに暮らした人々の、モノを媒介とした繋がりと目には見えない絆の織りなす世界を、石・星・橋・百年暦・労働の場であり生死を超えて共に暮らす仲間であるギルドやツンフト、兄弟団・賤民、煙突掃除人や人間狼・ビール・鐘・カテドラル、そして楽しみと涙、生と死などの諸相を通して描きだす短編エッセイ集。都市の市民たちが共に宴会を楽しみ働く世界は、一方ではかつて畏れられていたものたちを疎外することで自分たちを守ろうとしており、また時には限界を迎え病気の職人を放り出す事件もあった、という話が印象に残りました2023/06/17

総代

1
ドイツ中世社会における庶民の都市生活、農村生活の死生感や隣組のような兄弟団、賤民の生活等を解説する、特にこういう書物の細部には現代まで続く習慣のルーツが書いてある、例えば食物や飲料について、我々が米を大事にするように彼らはパンとビールを生活の中心にしていた。そのような彼らを形作る精神性について。2011/11/21

メーテル/草津仁秋斗

0
中世ヨーロッパ(特にドイツ)を、民衆史という観点から読み解いた本。網野善彦と並行して読んだらとてもよくわかっていい。2015/01/27

しいかあ

0
いろいろなところに書いた文章をテーマごとに編み直したエッセイ集。著者の研究はモノを媒介とした人と人との関係性を明らかにしていくことだったけれども、構造主義の「構造」も、仏教でいうところの「縁起」もひらたくいえば「関係性」とか「かかわりかた」のことだよなあと読みながら思った。人はつくづく関係に生きる生き物だと改めて感じさせられた。2012/01/09

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