内容説明
仏教の根本精神を究めるにはブッダに帰らねばならない。一貫して仏教の根本をたずねてきた斯界の第一人者が、東洋的思想の根本をなす人としてのブッダの出家から寂滅までの生涯の言行を、一話完結形式で、だれにもわかりやすく説いた入門書。読者の理解を深めるため、数多くの「語注」を付した。
目次
三つの〓(きょう)逸をいましめて(出家)
山にかこまれし都にて(修行)
万法のあきらかとなれる時(正覚)
そは永遠の法則なり(縁起)
古道の発見にたとえて(正道)
二つの蘆束は相依りて立つ(縁起)
陸にあげられし船の艫舵のごとく(苦行)
法に依りて人に依らず(依法)
いま甘露の門をひらく(説法)
最初の説法の対象をえらぶ(初転法輪)〔ほか〕
著者等紹介
増谷文雄[マスタニフミオ]
1902年北九州市生。1925年東京大学宗教学科卒。東京外国語大学教授、都留文科大学学長を歴任。阿含経研究の第一人者。1987年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこさん
24
ブッダの悟りや初転法輪に始まり、サーリプッタやモッガラーナ、そして彼自身の死、アングリマーラやハーリティとの対話まで、百(の見開、九十五話)のエピソードがエッセイ的にまとめられている。これを読む初学者は、ブッダがどのような空気をまとった人であったのか、縁起や苦、中道とはどのような人から発せられた身体知の声であったのかをイメージする手がかりを得ることになると思う。肝心なのは、それらを自らの身心で経験することだ。晩秋の夜の淵で肌寒さに暖をとりながら、静けさのノイズ音に嬉しく耳をすませて読むのに良い、密度の本。2019/11/16
テツ
22
お釈迦様のお話。仏教説話ならぬ仏教百話。仏陀百話。この世に人間如きが到達できる真理がいくつ存在するのかぼくには解らないけれど、こうしたら自分がより良くより美しく存在していられるのではないかという、ある程度の普遍的な物差しというものは(社会や時代によっても多少変化するだろうけれど)揺らぐことのない真理とは別カテゴリで存在するのではないかと思っていて、仏教に限らず信仰に基づく在り方がそれなんじゃないかなあと。出家する必要はない。多分ぼくらは悟れない。それでも自分が良いと感じる部分は取り入れて生きていきたい。2019/10/24
SGM
12
★★★仏陀に関わる小話95話(大半は見開き2ページ)が収録されている。非常に平易に書かれているので読みやすく、内容もすばらしい。時折読み返したい。2018/04/11
やま
11
いろんな意味で興味深い内容だった。怒るな、貪るな、嘘をつくな、、という教えは心を健康にするかもしれないけど、それは同じ仏教の教えを信じる人の間だけのような気がする昨今。それでも、自分が大事なことは当たり前とか、厳密もゆるいのも良くなくて中庸がいいとか、共感できることは多い。2018/06/25
チェリ
7
ブッダのことばを生活に取り入れたい。この本のなかでは「流れを渡る牛飼いに喩えて(彼岸)」「花の香りのごとし(無我)」が気に入っています。2012/04/14