出版社内容情報
「革トランク」「黄いろのトマト」「チュウリップの幻術」「ビヂテリアン大祭」「土神ときつね」「雁の童子」他27篇収録。
【解説: 天沢退二郎 】
目次
革トランク
おきなぐさ
黄いろのトマト
チュウリップの幻術
化物丁場〈ばけものちやうは〉
ビヂテリアン大祭
土神ときつね
林の底
マグノリアの木
インドラの網
雁の童子
三人兄弟の医者と北守〈ほくしゆ〉将軍
学者アラムハラドの見た着物
ガドルフの百合:楢ノ木大学士の野宿
葡萄水
みじかい木ぺん
バキチの仕事
サガレンと八月
台川
イーハトーボ農学校の春
イギリス海岸
耕耘部の時計
さいかち淵
タネリはたしかにいちにち噛んでゐたやうだった
黒ぶだう
車
氷と後光
四又の百合
虔十公園林
祭の晩
紫紺染について
毒もみのすきな署長さん
内容説明
「革トランク」「おきなぐさ」ほか31篇を収める賢治全集童話篇2。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
65
童話と歌っていながらも、童話とは言い難い作品が多かったように思います。妹の病気が背景になっているのか、無関係なのかはわかりませんが暗さが感じられました。深読みしすぎでしょうか。2020/05/31
レアル
61
この巻に描かれた小説(といってもほとんど短編)は最愛の妹の病気が背景にあるのか、小説とは関係ないとはいえ、その影響を受けたであろう作品が多いように思う。そして宗教もその一つなのかもしれない。深読みすればきりがないし、賢治自身にすれば、そんな影響を全く度外視した小説である!と言い切りたいであろうが、私は作品を通して何かを訴えているように思われる。2017/01/22
優希
45
童話ではありますが、どうも童話らしくなく感じます。妹の病気が背景にあるからでしょうか。2022/08/17
くまさん
30
花巻にて。通読したなかでも「学者アハムハラドの見た着物」という短篇を、僕は好きです。教える十一人の子どもたちには立派な家柄の子もいて、「けれども学者アラムハラドは小さなセセラバアドといふ子がすきでした」。「けれども一体どうだらう、小鳥が啼かないでゐられず魚が泳がないでゐられないやうに人はどういふことがしないでゐられないだらう。人が何としてもさうしないでゐられないことは一体どういふ事だらう。考へてごらん」。答えはそれぞれに託されている。時代が変わっても過渡期であることは変わらない。ここで問われていることも。2019/05/04
きょちょ
12
この巻は、「童話」とは言い難い作品が多かった。 特に、「ビヂテリアン大祭」。 これは、「小説」として描いた彼の「思想」「生き方」だろう。 「童話」としては、原稿が散逸してしまって未完に終わった作品が多く残念だけれど、「土神ときつね」は賢治の「心」がとてもうまく入った「童話」と感じた。 ★★★2016/01/03