内容説明
誤ってライフルで兄を殺してしまう少年、アヒルの血を探しに街をさまよう少年、花嫁を拉致する不埓な少年、アコーディオンの練習にいそしむひとまず「いい子」の少年…少年が〈世界〉と出会う瞬間を鮮やかに、そしてやわらかな哀しみをもって描く、とっておきの少年小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
30
少年が主人公の作品集。子供が主人公の割と辛い作品が多い。少年達の目から見た大人達は、しばしば「そうじゃない」事を言ったり、自分の苛立たしさを剥き出しにして子供にあたる。そして大人たちを観察しながらも、どうにもできない少年たちもいる。子供に寄り添っているつもりで、しばしばまちがった事を言う大人達は自分を見ている様で辛かった。児童文学、少年小説は大人達のための小説だなあ、としみじみ思った。2021/01/09
ShinzawaTaku
0
タイトルや可愛らしい表紙からして少年向けかなーという気もしたけど、柴田元幸氏の訳した短編集だから外すことも無いという安心感もあったので。結果的には少年向けではなく、まったく可愛らしい内容でもなかった、良い意味で。 すごく面白い話もあるし、さっぱり分からない話もあり。レイモンドカーヴァー的というかミニマリスト的というか。まったくオチがないようにスパッと終わる話も多くて、もやもやしたところもあったのだけど、柴田氏のあとがきを読んで “なるほど、こういう切り口で解釈すると良いのか”と膝を打って納得したしだい。 2017/11/12
じゅん
0
★★★☆☆『石の子』『アメリカン・ビューティ』『スペインの貴婦人』がおもしろかった。ベストは『石の子』かな。兄を誤って殺してしまった弟が感情を押し殺した結果、父親たちからサイコパス扱いされることになんとも言えない悲しみがある。次点で『アメリカン・ビューティ』。引っ越した兄の回想が、混線した感情をうまく現していて味わい深い。原文の雰囲気を損ねないように気をつけている柴田元幸ならではの、みずみずしい文体が遺憾なく発揮されている良書だった。個人的には、ダイベックの短編がいまいちだったのが心残り。2016/09/08
まろ
0
柴田さんの好む少年ものは、どうもしっくりこないんだよなぁ。「石の子」と、前にも読んだ「アメリカン・ビューティー」は好きだったけど。少年たちが見ている歪んだ世界というのが、私には上手く理解できないせいかもしれない。2012/12/14
jouwe
0
ジーナ・ベリオー『石の子』 イーサン・ケイニン『アメリカン・ビューティ』。ダイベックの歯科医のくだりにはっとする。2010/09/29
